今日より明日、明日より未来へ!スケートアメリカ女子シングルを見て改めて確信する、「まだまだやれる」の強い気持ち。
いくつになっても成長はできる!

身体を使う仕事と言うのは大変なようで、どの界隈のアスリートでも30を過ぎると引退という話が持ち上がってきます。体力面の衰え、疲労のヌケの悪さ、怪我が治らない…やがて自分のプレーができなくなり、現役を退いていく。それはある意味で仕方のないことなのかなと思います。

ただ、それはあくまで体力の話だけであって、経験や知恵は若い頃より年を重ねたほうが圧倒的に上だろうとも思います。体力面だけで決着に至らない競技であれば、年齢を重ねたほうが有利になる部分が多分にある。野球やサッカーで20歳が一番イイ時期なんてことは基本的にないのですから、ある程度は年齢を重ねていきたい。

その意味でフィギュアスケートなんていうのは、年を食ったほうがイイと思うのです。確かに「空中3回ひねり跳び」をやることだけ考えれば、細くて軽い身体のほうが得でしょうし、15歳・16歳にもなれば十分という話もあります。しかし、それ以外のすべてを身につけるにはそれでは時間が短すぎる。

かつては20代前半が限界のように考えられ、3回ひねりはおろかそこに宙返りまでくっつける体力勝負の競技・体操でも、何やかんやで20代後半までやれているのが実情。リオの男子団体金メダルメンバーも27歳・27歳・26歳・22歳・19歳というところです。そのくらいの年齢まで体力をもたせることは可能だろうと傍目には思いますし、体力さえもつなら長くつづけたほうが有利だろうとも思います。

平昌五輪を見据えるプレシーズンが幕を開けた、フィギュアスケートGPシリーズ第1戦スケートアメリカ。ひと足さきに終わった女子シングルは、まさに「いくつになっても」を感じさせる戦い、「いくつになっても」と言ってあげたくなるような戦いでした。

優勝したアシュリー・ワグナーは、それこそ年齢を重ねて良さが出てきた選手。10代から世界選手権にも出場するなど頭角を現した選手ではあったものの、「そこそこ」の位置取りで競技をつづけてきました。どちらかと言えば、ココ一番ではチカラが出せない、気弱な選手というイメージ。それが20歳を超えて世界のトップに近い位置までのぼると、20代の中盤から後半にさしかかろうという今、今まさに花開いている。昨季の終わりに獲得した世界選手権でのメダルは、ここまでつづけてきたからこその栄光でした。積み重ねた練習と、人間としての成長があればこその。

そして、単に技術面のことだけでなく、表現者としても今までよりも今のほうが断然よく見える。猛々しささえ感じさせるようなキャラクターを作り上げ、さまざまな経験を得て円熟してきた心が演技に乗っている。現在のアシュリー・ワグナー像を作り上げるには、やはり時間というものが必要だったと思います。そもそも、こんなキャラだったっけ、という出発点から考えると、一朝一夕にはいかないものです。

そして演じることの可能性という面でも、今までよりも今のほうが断然に広がっている。単純に10代や20代そこそこでは表現できないテーマもフィギュアスケートには多かろうと思うのです。「待つ恋」「亡くした人」「愛」、死ぬまでずっと理解を深めていくようなテーマを演技に込めようと思うなら、今日よりも明日、明日よりも未来のほうが有利なはず。引っ掛かるのは本当に体力面の話だけであって、そこさえクリアできるなら今日よりも明日、明日よりも未来のほうが強いはずなのです。

↓身体の動きが美しいというだけでなく、踊りとしてのパンと詰まった充実ぶりを感じさせるアシュリー・ワグナーの演技!


ショートのデ・デ・デ・デ・デ・ダンスも、演目のドヤ感に人物が負けてないのがイイ!

小娘にはできない演技がココにある!

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アシュリー・ワグナーが20歳のベルと17歳の三原舞依さんをおさえてしっかり優勝しているというのは、若い選手にとってもイイことだと思うのです。まだまだ成長できるという希望でもあるし、人生を燃やし尽くせる可能性みたいなものを感じられそうじゃないですか。

大学卒業頃にはアナタが人生を賭けてきたものは終わりですよ、なんて誰だってイヤでしょう。第二・第三の人生はあるにしても、第一の人生を生き尽くしたいのが人情というもの。かつての常識…それこそタラ・リピンスキー型のキャリアというのを、それだけじゃないんだと示してくれる先達がいることは、とても心強い。「身体が大きくなって無理なんです…」なんていう弱音さえ吹き飛ばしてくれそうじゃないですか。「もっと身体をデカクしろ!」「肉で解決!」「体操選手は全員ムキムキ!」くらい言いそうじゃないですか。

そういう意味では、今大会成績的には振るわなかった日本勢の浅田真央さん、村上佳菜子ちゃんも「まだまだこれから」というところ。真央さんは文字通り「体力面」の問題をクリアすれば、まだまだこれからの選手です。15歳の天真爛漫とした少女の頃ももちろん素晴らしかったけれど、ホンワカとした人となりにも、ようやく大人びた表情が宿るようになり、「真央ちゃん」から「真央さん」にクラスチェンジしたばかりのところ。まだまだこれからがいいところ。

今季はショートとフリーで同じ「リチュアルダンス」の曲目を違うアレンジで演じると言いますが、これなどは少女のままでは演じられない演目であり、新しい試みでしょう。単純に考えれば同じ曲で二日踊るというのは、お客としては退屈なもの。初日は明るくてカワイイもの、二日目はガラッと変わってクラシカルで重厚なもの、そんな使い分けをするのが基本線です。

それを、自分の表現の幅によって、同じ曲の別アレンジをまったく違う演目として魅せようというのですから。「昨日もマグロだったのに、今日もマグロ!」という料理人の技巧のような、表現者の「腕」を問われるプログラムへの挑戦も、「今ならできるんじゃないか」という気持ちがあればこそ。つづけてきたからこそ思いついたアイディアです。

何より真央さんの物語は、ソチのフリーで一度極まっています。この先、どこでどう終わったとしてもハッピーエンドであることは間違いない。調子の悪い日や、身体がついてこない日が増えてきたとしても、それも含めて「そこにいてくれる」ことだけで大歓迎です。若い選手と競い、新しいプログラムと格闘してくれているだけでありがたい。平昌五輪に出られたら、それだけで泣いてしまいそうなくらい。

↓ショートで演じる魔術師も、魔術師が板についてきた感じがする!



ストナのCMなどを経て魔術師とか悪魔とかへの理解も深まってきた!

今だからこそ、もう一回「鐘」とかを見たくなる!


↓ショートの終わりのポーズと始まりのポーズが連動しているというフリー!



GPファイナルは難しいかもしれないけれど、そのぶん全日本に集中できそうだ!

全日本で勝負の一発を見せる真央さんとか、燃えるな!


↓あと、佳菜子ちゃんも頑張ろう!



年だけなら平昌の次まで、イケるぞ!

イチからすべてを見直しても体力はもつぞ!

目指すものがあるなら、できることはまだまだある!

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こんな話を長々とした心境というのは、先日見に行ったジャパンオープンの影響によるものです。三地域の対抗戦ということで、日本・北米・欧州の有力選手が集った同大会で、日本代表に最近はすっかり解説者としておなじみの織田信成さんが加わっていました。僕などは底意地が悪いので「か、数合わせだ!」くらいに茶化しながらの観戦なワケですが、織田さんがそこで見せた演技は4回転も含む、現役さながらのものでした。

引きつづき茶化しながら「まるで現役選手みたい!」くらいに思っていたら、スコアまで現役当時の記録を超えてパーソナルベストが出てしまったのです。まぁ有り体に言えばオープン戦のような試合ですので、何もかもを額面通りに受け取っているわけではないのですが、見たときの感覚が「現役みたい!」で、スコアがパーソナルベストなら、やっぱり超えてきていたのかなとも思うのです。

もうすぐ30歳の織田さんがそういう演技ができるなら、もしかしたら思っている以上にフィギュアスケートというのは、長く戦えるスポーツなんじゃないのかなとも思うのです。ならば、20代とか言わず、35歳とかになっても門番のように居座るベテランがいたって楽しいじゃないですか。シーズンフルでの遠征はキツくても、「5分だけなら全力が出せる」という老武道家みたいなやり方もあります。ベテランにはベテランだけの愛で方がある。

そして、もうひとつジャパンオープンで衝撃だったのが、町田樹さんの演技。言葉では上手く表現できないのですが、ジャンプは1本もなく、激しい動きもほとんどない、ただツーッと滑るだけの演技なのです。しかし、その発想力というかキャラクター性というのは、いまだに成長の途上なのだなと深く感じ入りました。以前、試合で見ていたときよりも遥かに大きくなっていました。

教えられた振り付けで、与えられた曲目を踊り、単に跳ぶ。それでもスコアはそこそこ出るのかもしれませんが、もっと面白いものというのができると思いますし、その「腕」を身につけるにはそれなりに時間もかかるだろうと思うのです。22歳くらいで引退とか言い出すタイプも世の中には多いワケですが、その先まだまだ面白くなるんじゃないのかな…ということを、フンワリと思い、その確信を強めている。それが最近の感想なのです。

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一番イイときは、いつだって「明日」なんだと思いたい!競技も人生も!