地球の姿を文字どおり「手に取るよう」に見ることができる地球儀の歴史は古く、かつては戦争の作戦を立てるための重要な道具としても使われていたことも。そんな地球儀を手描きで作るという、世界でも数少なくなった工房がロンドン郊外に存在しています。

The Small London Company That Makes the World's Most Beautiful Globes | Atlas Obscura

http://www.atlasobscura.com/articles/the-small-london-company-that-makes-the-worlds-most-beautiful-globes

手作りの地球儀を作っているのは、北ロンドンに拠点を置く「Bellerby & Co.」です。同社では、さまざまな大きさの地球儀を手作りで製造しており、一般的には印刷されることが多い地表の様子を一つずつ手描きしているとのこと。



同社の創業者で、代表のピーター・ベラビーさん。かつてはボウリング場経営で成功していたベラビーさんは、父親の80歳の誕生日にプレゼントする地球儀を探していたところ、求めるクオリティのものに巡りあえなかったとのこと。そこでベラビーさんが出した結論が、「自分で作る」というものだったそうです。



ひと口に「地球儀を作る」といっても、その工程は簡単なものではありません。まずはベースとなる完全な球体を作り、その次には表面に貼り付ける地図を紙の上に描きます。そして仕上げには、北極から南極にわたる長さの細い紙を順番に貼り付けます。最初は地図の専門業者からデータをライセンス購入して使っていましたが、間違いが多く修正が大変だったそうで、「それならば」ということで独自の地図をゼロから描き上げることにしたとのこと。



同社の地球儀は水彩画で描かれており、作業は手作業で行われているとのこと。現在では10人程度のスタッフが製造にあたっており、芸術性の高い地球儀が製造されています。



製作途中の地球儀。このモデルは写真のように正確な地球儀ではなく、古きよき時代を感じさせるような色合いで描かれています。



工房内におかれた色見本。種類によってはターコイズやペルシアン・ブルーなどの鮮やかな塗料を使って描かれるものもあるとのこと。



ベルビーさんは、紙の上に描かれた地図とは違い、実際の地球と同じ様子で再現され、実際に触れることもできる地球儀は「地図よりも多くの物語を語りかけてくる」と語っています。

同社の製品は、直径22.9cmのデスクトップサイズ「Mini Desk Globes(価格1099ポンド:約14万円)から、直径50cm木製の架台にセットされたThe Britannia(6990ポンド:約89万円)、直径80cmのThe Galileo(1万3450ポンド:約170万円)のハイエンドモデルなどをラインナップしています。そんな中でも最高峰に位置するのが、第二次世界大戦中に、かのウィンストン・チャーチルとフランクリン・ルーズベルトのために作られたという地球儀のレプリカ「The Churchill」。地球儀の直径は127cmという巨大なモデルで、台を含めた全高は152cmにも達します。ベアリングが内蔵された台に乗せられ、地球儀をあらゆる方向に回転させることが可能。このような地球儀を見ながら、チャーチルは戦争の作戦を練ったといわれているとのこと。

Bellerby & Co. Globemakers The Grand Oak - The Churchill - Our Globes



なお、最高級モデル「The Churchill」は合計40台の数量限定生産で、価格は5万9000ポンド(約750万円)。1年に1台だけという生産計画となっているそうです。Bellerby & Co.のInstagramアカウントには、製造風景や完成品などの写真がさらに多くアップロードされています。

Bellerby & Co Globemakersさん(@globemakers) • Instagram写真と動画

https://www.instagram.com/globemakers/