■WEEKLY TOUR REPORT
◆米ツアー・トピックス

 先日、PGAツアーが主催する2015−2016シーズンの『プレーヤー・オブ・ザ・イヤー』が発表され、全米オープンでメジャー初制覇を達成し、ツアー3勝を挙げたダスティン・ジョンソン(アメリカ/32歳)がその栄誉に輝いた。

「こんなにうれしい賞はない」

 受賞の喜びをそう語ったジョンソン。彼がそれほどうれしがるのには理由がある。

 実は、米ゴルフ界には年間の『プレーヤー・オブ・ザ・イヤー』はふたつ存在する。ひとつは、全米プロ選手権やライダーカップを主催する全米プロゴルフ協会(PGA)が授与するもの。そしてもうひとつが、このPGAツアーのものである。前者は1年間の獲得ポイントによって決まるが、後者は選手たちの投票によって決まる。そのため、PGAツアーの同賞を受賞した選手は"同じ仲間たちから選ばれた"と、喜びもひとしおなのである。

 ちなみに、もともと『プレーヤー・オブ・ザ・イヤー』は、1948年にPGAが創設した。その後、PGAツアーも「ツアーで活躍する選手を自ら評価したい」として、1990年から独自に同賞を設立。年間15試合以上したツアーメンバーの投票によって選出し、表彰するようになった。

 また、PGAツアーの『プレーヤー・オブ・ザ・イヤー』には、『ジャック・ニクラウス賞』という呼称がある。その名の由来は、もちろんメジャー通算18勝、ツアー通算73勝(歴代3位)という、彼の偉大な実績を称えたもの。実際に、同賞のトロフィーは彼のプレーのワンシーンを切り取ったブロンズ像となっており、表彰式の際にニクラウス本人から授与される。

 今年のPGAツアーの『プレーヤー・オブ・ザ・イヤー』は、最終的にはジョンソンが他を大きく引き離したが、プレーオフが始まる頃は、"第5のメジャー"と呼ばれるプレーヤーズ選手権、WGC(世界選手権シリーズ)のデル・マッチプレー選手権、そしてアーノルド・パーマー招待を勝ったジェイソン・デイ(28歳/オーストラリア)との熾烈な争いと見られていた。ゆえに、ふたりのプレーオフでの戦いが注目された。

 そのプレーオフ、初戦のザ・バークレーズでは、デイが4位でフィニッシュ。2戦目のドイツバンク選手権でも15位とまずまずの成績を残した。しかしその後、デイは腰痛を悪化させ、残り2戦を欠場することになってしまう。

 一方、ジョンソンは第3戦のBMW選手権で今季3勝目を挙げて、最終戦のツアー選手権では6位に終わったものの、ロリー・マキロイ(27歳/北アイルランド)と年間王者の座を争って、最後までツアーを盛り上げた。そうした実績が評価されたのだろう。

 PGAツアーの年間アワードは『プレーヤー・オブ・ザ・イヤー』の他に、賞金王の『アーノルド・パーマー賞』、年間最少平均ストロークの『バイロン・ネルソン賞』といったレジェンドたちの名前がつけられた賞がある。

 ジョンソンは、昨季の獲得賞金がおよそ936万ドル(約9億5000万円)で1位。平均ストロークも69.17と第1位となって、『ニクラウス賞』と同時に、『パーマー賞』と『ネルソン賞』の栄冠も手にし、PGAツアー賞の"三冠"を獲得したのだ。

「まさか、すべての賞を受賞できるとは思っていなかった。これまで夢に見ることもなかった」と、興奮気味に語ったジョンソン。"三冠"奪取には、感激しきりだった。

 振り返ってみれば、やはり今季はジョンソンの1年だった。

 ドライバーの平均飛距離が310ヤードを超えるなど、ツアー屈指のロングヒッターだからこそ、その活躍は早くから期待されていた。しかしこれまで、メジャー大会においては何度も優勝争いを演じながら、あと一歩で勝利を逃し続けてきた。

 それが今季、全米オープンで圧倒的な強さを披露。ついにメジャータイトルを手にしたのだ。さらに、その他の試合でも常に上位争いに加わって、自身初の年間3勝を飾った。今季は、まさにツアーの中心的な存在だった。

 ジョンソンは、今季の飛躍について「ショートゲームの上達で、(自分の)ゴルフがひとつ上のレベルになった」と言う。もちろん、ポーリナというよきパートナーと、息子のテイタム君の存在が精神的な支えになったことも間違いない。

「ボクのゲームはまだまだたくさん伸ばせるところがある。これからも、ゴルファーとして、また人として、もっと成長していきたい」

 ニクラウスからトロフィーを授与されたあと、ジョンソンはそう語った。今後のさらなる活躍を期待したい。

text by Reiko Takekawa/PGA TOUR JAPAN