■柳田将洋インタビュー・後編

 2016/17男子V・プレミアリーグが開幕する。注目選手のひとりとして、全日本でも活躍した柳田将洋(サントリーサンバーズ)に話を聞いた。後編ではまず、五輪出場権が取れなかった世界最終予選のことを振り返ってもらい、その後にイタリア挑戦を決めた石川祐希や海外バレーへの憧れ、そして2020年への展望について、語ってもらった。

──OQT(五輪世界最終予選)を振り返ってもらいたいのですが、7位という結果の原因は何だったのでしょうか。

「原因はまず、僕らの力が足りなかったのが第一。感覚として、"世界"と戦うことに対して抵抗があった気がします。そう感じたのは最初のベネズエラ戦。世界の壁を乗り越えていない状況でスタートしてしまった。その壁を壊していかないと、当たり前に戦うことができない。特に僕ら若い世代は清水(邦広)さんたちと違って経験が少ないので、その壁をもっと壊していかないといけないですね」

──たとえば、OQTの前にもっと海外のチームと試合を組むことができていれば違ったでしょうか。

「それは、ないよりは(あった方が)よかった、確実に違ったと思います。ワールドカップの時がそうだったんですけど、あの年の印象として、ほとんど海外でたくさん試合をして、親善試合をして、アジア選手権をして、練習試合をして、それでワールドカップだった。それが一概にいいかは言い切れないですけど、それを当たり前にしていかないと、世界と戦うことがベーシックにならないです。レセプション(サーブレシーブ)するにもサーブが違いますし、ブロックの高さも違う」

──個人的には何が課題でしたか? 

「自分の持ち味が出せなかったこと。終わってしまったことなので、課題というより反省ですね。サーブが全然入らなかった。課題を挙げたら、切りがないです」

──やはりOQTという大会は取材していても、他の試合とは緊張感や観客の雰囲気も違う大会だと思うのですが、やっていてどうでしたか?

「いや、ワールドカップとあまり変わらなかった。独特の雰囲気とかプレッシャーは、ワールドカップでもすごく感じていて。OQTの独特の雰囲気は、そのときはあまり感じていなかったです」

──直後に始まったワールドリーグ、国内大会はよかったものの、アウェーでは全敗。モチベーションの維持に苦しんだのでしょうか。体力的に難しかったのでしょうか?

「特にそういった問題はないかな。体調が若干よくないとしても、それがプレーに影響したかというと僕自身、そういうことはありませんでしたし、他の人もそうだったと思います。OQTの直後でも、できる限りの調整はしましたし、切り替えてやっていたと思います。コートの中でも、ベンチで見ていてもそれは感じました。

 だから、何で勝てなかったかといわれたら、僕らの力不足。僕自身もそれを一回見つめ直さなきゃいけない」

──オリンピックは見られましたか? 世界のバレーをどう見ましたか?

「オリンピック、見てましたよ。テレビじゃなくて、NHKのアプリで。

 五輪レベルになると、どこも強くて......。ただ、どういうコンセプトでバレーをやっているのか注目しました。何回も見直しても、戦術的にわからないところが出てくるんです。

 たとえば強い国同士がやると、レセプションがきれいに返り、強いスパイクが打たれる。その中で、どうブレイク(サーブ権があるときに得点)するか。こういうとき、どういう戦術を採用しているのか気になります。ひとつひとつのプレーがすごいのは当たり前なんで」

──現地に見に行こうとは思わなかったのですか?

「見に行きたかったですけど、そんなお金もなく......(笑)。あとは体づくりをやらなきゃという気持ちもあって。五輪の雰囲気を現地で感じたかったのですが、僕は体づくりを採ったということです」

──あらためて、東京五輪はやはり目指す場所ですか? 

「もちろん、目指す場所のひとつとして光り続けている。(周りの)みんなも上手いのですが、頑張ります」

──その東京五輪までに克服しないといけない課題はどんなところですか?

「海外との差を埋める。それに尽きる。海外への免疫をつけること。それをもっとやらなきゃいけない」

──海外という言葉が出たところで、石川祐希選手の話を。今季、再度イタリア・セリエAに挑戦することが発表されました。OQTの会見で、ご自分も海外でプレーすることに興味があるとおっしゃっていました。いろいろ思うところはありますか?

「彼が(イタリアへ)行くということ自体は全然すごいとは思わなかった」

──えっ、そうなんですか?

「はい。彼だったら全然、ふつうにイタリアでできると思うから。むしろ、ふつうにやってほしいくらいの気持ちです、こっちからしたら。海外に行くことが"いいこと"だとするなら、彼が今少し先を走っている状況で、彼だけにそうやって期待背負わせるのは......。

 自分たちもどんどんハングリー精神で、海外へ出て行くべき。指導法であったり、持ち帰れる部分はたくさんあると思うので。海外と国内、両方でやっていけるのは、重要な財産になると思います。別に僕が行くと決まったわけじゃないですけどね」

──何かと比較されるバスケットボールのBリーグの開幕戦をご覧になっていたようですが、どんな感想を持ちましたか?

「テレビで見ていました。これまでは、バスケ自体は好きだったんですけど、正直日本のバスケのリーグはあまり見る機会はありませんでした。バレーボールとシーズンもかぶっていますし、テレビであまり放映されませんし。だから、プロ化ということで大々的に放送されるのを楽しみにしていました。知っている選手もいますし。ああやって、競技がひとつ大きくなろうとしていることは、とても大事だと思います。ファンの方の獲得などで、スポーツそのものの価値を上げていくところは、バレー界も見習わなければならないと思います」

──バレーボールのスーパーリーグ構想についてはどう考えていますか?

「僕も逆にどうなんだろうと知りたいくらいです。全貌がわからないので。さっきも言ったようにバレーボール界も大きくしたいというのがあると思うんですけど、僕らは企業に所属して、スポーツに取り組んでいる。そこをどうカバーしつつ、アプローチをかけていくのか。難しいですね」

──目標にする選手に以前はブラジルの至宝、ジバとポーランド代表のクビアクを挙げていましたね。

「尊敬する選手はいっぱいいます。でも、挙げていただいたふたりは別格で、ふたりとも世界レベルで見ると身長が低いですが、素晴らしい選手ですよね。クビアク(パナソニック パンサーズ)は来日してリーグで対戦できるので、とても楽しみです」

──最後に、少しプライベートについてお聞きします。大阪生活は楽しんでいますか?

「2年目ですし、まあ楽しんでいるというか、雰囲気に慣れてきて、抵抗はなくなりました」

──大阪グルメで好きなものは?

「串カツとかはおいしいと思います(笑)」

──今のリラックス法、趣味は何ですか?

「買い物とかしますけど、お財布の関係で......しょっちゅうはできない(苦笑)。ウィンドウショッピングになりますね」

──では最後に、ファンに向けて一言お願いします。

「去年は(リーグ7位と)すごく悔しい思いをして、本当にリベンジしてやろうという気持ちで、選手スタッフ一丸となって燃えています。ぜひ、会場に足を運んでいただきたいし、映像を見て一緒になって戦っていただきたいです」

 
 来週、全日本の新監督が発表されるが、誰になるにせよ、リーグでの活躍が全日本のセレクションにつながっていくことは変わりない。東京五輪を見据えたチームに名を連ねるのは誰か? そういう視点からも、今季のVリーグから目が離せない。取材に応じてくれた柳田選手はじめ、若手の活躍に期待したい。

中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari