あらゆる薬が効かない耐性菌の出現で、世界的に結核の感染が広がっているが、順天堂大学の研究グループは、結核菌が免疫システムから逃れて体に寄生する仕組みを解明した。

新たな結核治療薬につながる発見だという。研究成果は科学誌「サイエンス・シグナリング」(電子版)の2016年10月11日号に発表された。

順天堂大学が発表した資料によると、結核は全世界で2015年だけでも約960万人が発症、150万人が死亡する、死者数が最も多い感染症だ。さらに最近は、すべての薬が効かない「多剤耐性結核菌」が出現し、発展途上国を中心に患者が急増している。薬が効かなくても、人間の免疫システムが結核菌を攻撃できれば、症状は抑えられる。しかし、結核菌は「細胞内寄生細菌」と呼ばれ、細胞内で殺菌されることをさまざまな方法で阻害し、細胞内に寄生する特徴を持っている。結核菌が巧みに免疫から逃れる仕組みは謎だった。

結核菌がマクロファージなどの免疫細胞に捕食されると、免疫細胞内の特定の糖脂質と結合することは知られていた。研究グループは、この糖脂質が免疫細胞内に伝わる「結核菌を殺せ」というシグナルを遮断し、結核菌を守っていることを突きとめた。この糖脂質をターゲットにした新薬を開発すれば、「多剤耐性結核菌」の治療に役立つというわけだ。