ムーヴ・キャンバスは車名にムーヴが付くように、ムーヴの派生モデルという位置づけ。とはいえ、助手席側が大開口になるピラーレス構造の「ミラクルオープンドア」を備えるタントとの関係性も気になります。

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全高はムーヴが最も低い1630mm、キャンバスが1655mm、タントが1750mm。ホイールベースは全車2455mm。そこで気になるのは、キャンバスがなぜタント同様にミラクルオープンドアを採用しなかったのか? という点。

ミニバン的なキャラであるタントが採用しているのは、小さな子どもを含めた乗降のしやすさはもちろん、大きな荷物の出し入れなどが理由でしょう。

一方のキャンバスは、ファミリーユースでも十分に使えるものの、最大のターゲットは母親などとシェアする独身女性が中心になっているという事情もありそうです。もちろん、タントよりもパーソナル感の強いムーヴの派生モデルという位置づけもあるはず。

キャンバスの開発に携わったダイハツ九州 開発部 開発室の大坪 稔さんにお伺いすると、「質量(車両重量)が重くなってしまうのと、コストがかかるため」というのが大きな理由だそうです。

対象とするユーザー層や使用されるシーンを想定すると、両側スライドドアでも良好な乗降性、そして荷物の出し入れのしやすさも十分に担保されていますから、デメリットを考えると採用する理由はなかった、ということでしょう。

さらに、「キャンバスは、タント/ウェイクをベースとしていますが、ピラーレス構造であるミラクルオープンドアにすると、ねじり剛性など開口剛性を確保するのが非常に難くなります(重量増に直結する)。そのため、もっと長い開発期間が必要になります」と続けてくれました。

そう、キャンバスは車名にダイハツの顔といえる「ムーヴ」の冠こそ頂いていますが、ベースはウェイクとムーヴの両方になっています。タントをベースとしなかったのは、ピラーレス構造と全高の違い(95mmもタントの方が高い)が理由だそうです。

もっと正確に言うと、キャンバスのフロントフロアはウェイク、リヤアンダーはムーヴがそれぞれベースになっています。

ただし、キャンバスはウェイクやタント、ムーヴなどと全高が異なるためドアパネルも新設したとのこと。これには、デザイン部門からも外観の差別化から流用は避けて欲しいという要求もあったようです。他には、ピラー関係もインフォース系をのぞいて新規開発、ボンネットやリヤドアなどもパネル新規に金型を起こしています。

ムーヴ・キャンバスという車名から、言葉は悪いですが一見小手先の派生モデルに感じるかもしれませんが、2台分開発するくらいのエネルギーを注いだ、というキャンバス。今後の主力モデルの1台になりそうです。

(文/塚田勝弘 写真/小林和久)

ムーヴ・キャンバスが、タントのミラクルオープンドアを「採用しなかった」理由とは?(http://clicccar.com/2016/10/23/409655/)