朝鮮半島でよく食べられている松の実。松の一種のチョウセンゴヨウ(朝鮮五葉)から採れるものだが、中国では漢方薬としてよく使われている。北朝鮮北部の農民にとって、松の実は貴重な現金収入が得られる手段であり、当局にとっては外貨稼ぎの手段となっている。

その北朝鮮産の松の実が、中国で安く買い叩かれているという。その理由を、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

故金日成氏は1967年、「山に松林を作って、松の実で油を作って人民に供給せよ」との教示を出した。それに伴い、当局は大々的な松林造成作業を行った。しかし、他の作物と収穫時期が重なり、値段も安く、油を搾る機械もなかったため、あまり注目されていなかった。

状況が変わったのは90年代後半に入ってからだ。中国で油や漢方薬として松の実の需要が高まった。中国の消費者は「産業が発達していない北朝鮮で採れるものはオーガニック」というイメージを持っていることから、高値で売れてもいいのだが、実際は非常に安く買い叩かれている。

その理由について、北朝鮮貿易に携わる中国商人は次のように語った。

「北朝鮮の松の実加工場の設備があまりよくないようだ。中国に入ってくるものはほとんどが未加工。さらに、熟れる前のものを採っている」

なぜ、熟れる前の実を採るのか。平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋は語る。

「松の実の収穫は9月からだが、住民は8月中旬に山に入って、松の実を採ってしまう。あと2週間待てば、熟れた松の実が採られるのだが、悠長に待っていると、泥棒に全部盗られてしまうからだ」

いずれの情報筋も、北朝鮮から中国に輸出される価格については言及していないが、中国で加工された松の実は500グラム100元(約1530円)で売られていると語っている。