栄誉賞を受賞した坂本龍一 (C)佐藤久理子

写真拡大

 今年で43回目を迎えたベルギーのゲント映画祭で10月19日(現地時間)、坂本龍一がワールド・サウンドトラック・アワードの栄誉賞(ライフタイム・アチーブメント)を受賞した。日本人としては初の受賞となった。

 授賞式で坂本の名前が呼ばれると、会場はスタンディングオベーションとともに割れんばかりの拍手が巻き起こった。舞台にあがった坂本は、「こんなに大きな拍手をもらったことはないので、とても緊張しています。(栄誉賞について)ちょっと怖くもあります。まだもう少し末長くやっていけることを願っています」とスピーチをして、会場を沸かせた。

 さらに「戦場のメリークリスマス」における故大島渚監督との出会いと、それがきっかけで映画音楽の仕事ができるようになった経緯を語ったのち、「おそらく他の映画音楽家もきっと同じ思いでいるはずですが、映画にとって音楽はもっとも重要でありながら、いつも最後に時間の余裕がないなかで依頼を受けます。もっと時間と、クリエイティビティの余地、そしてお金をください」と発言して、笑いと拍手に包まれた。

 ゲント映画祭は映画音楽部門に力を入れた、世界でも珍しい映画祭だ。2001年からワールド・サウンドトラック・アワードという部門をもうけ、優れた映画音楽家をたたえるさまざまな賞を授与するとともに、コンサートやプロフェッショナルが集まるセミナーなどを開催している。19日は授賞式とコンサートを兼ねたガラが開かれ、他の受賞者の作品と並んで、坂本による「戦場のメリークリスマス」「ラストエンペラー」「ハイヒール」「ファム・ファタール」の4曲が、ブリュッセル・フィルハーモニック・オーケストラにより映像と併せて演奏された。「戦場のメリークリスマス」では坂本自身が、オーケストラとともに力強いピアノ演奏を披露した。

 翌日、取材に応じた坂本は「(舞台では)感情的にとても高揚していたので、その後の演奏のときはただ間違えないようにと、ひたすら集中して弾いていました(笑)。ただ一旦始まってみたらオーケストラがすぐ真近にいるので、彼らの呼吸が感じられ、とてもよかったです。あらためて映像を観ながら音楽を聴くというのもいいものですね。撮影当時のいろいろな思い出がよみがえって感無量になりました」と語ってくれた。

 またゲント映画祭の音頭により、ブリュッセル・フィルハーモニック・オーケストラ演奏による坂本の映画音楽13曲を収めたCD「Ryuichi Sakamoto Music for Films」(Silva Screen Records Ltd. http://www.silvascreen.com)も発売された。舞台で演奏された4曲のほか、「バベル」「一命」「レヴェナント:蘇えりし者」などの曲も収録されている。(佐藤久理子)