今月25日からフィリピンのドゥテルテ大統領を国賓として迎える日本にとって、中国寄りの姿勢を鮮明にした新政権をいかにつなぎとめるかが焦点となる。日本側は公式の首脳会談に加え、安倍晋三首相と同大統領の間で小規模会合の開催を計画。個人的な信頼関係を築き、南シナ海問題に対する日本の立場を伝える考えだ。

「中国に取り込まれるのは困る」

 日本とフィリピン両政府の関係者によると、日本側はごく一部の関係者に限った安倍首相とドゥテルテ大統領の会合をフィリピン側に打診。26日の公式首脳会談後に開く方向で調整中だという。

 日本政府の関係者は会合の狙いについて、首脳同士の個人的な関係を深めることと説明する。静かな環境の中で膝を突き合わせ、「南シナ海や法の支配の重要性について日本がどう考えているのか、スタンスを説明したい」と、同関係者は語る。

 ぎくしゃくしている米国との関係改善を日本が促すのは「今のタイミングでは反発される恐れがある」(同関係者)として控える見通し。米国が人権問題と批判しているドゥテルテ大統領の麻薬犯罪の取り締まりも、日本は今回の来日中に取り上げない方向だ。岸田文雄外相も大統領と小規模な夕食会を開く。

「ドゥテルテ大統領は日本には良い感情を持っているようなので、一連のイベントを通してそれを拡大させたい」と、別の日本政府関係者は言う。「フィリピンが中国と対話を進めるのは地域の安全保障にとって良いことだが、中国に取り込まれてしまうのは困る」と同関係者は話している。

 フィリピンは南シナ海のスカボロ―礁の領有権をめぐり、中国と対立している。中国が岩礁を埋め立て、軍事拠点化を図ることを懸念する米国と日本は、フィリピンの主張を支持するとともに、沿岸警察や海軍の能力向上を支援するなどしてきた。