サッカー日本代表初の試みとなったGK合宿が10月17日から3日間、J-GREEN堺(大阪・堺市)で行なわれた。J1の2ndステージが佳境に入るこのタイミングでの実施は、GK陣へ寄せられる期待の現れともいえるだろう。

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、18日深夜(日本時間)に行なわれたUEFAチャンピオンズリーグの試合を引き合いに出し、GKの重要性をこう話している。

「GKのポジションは進化した。フィジカル、テクニック、メンタル、タクティクス。求められるものが非常に多い。私はGKが最も繊細で、最も重要な役割だと考えている。実際にリヨンvsユベントス戦では、PKを止めたブッフォンと、ミスをしたアントニー・ロペスの出来が勝敗を分けた」            

 また、繰り返し主張していたのが、GKに求められる「サイズ」と「足元の技術」の重要性だ。これまでも、「理想となるモデルはノイアー。テクニックの面でも、タクティクスの面でもまさに現代型のGKといえる存在」と公言するなど、指揮官が求めるGKのハードルは高い。

 今回の合宿中も、両足を使ったキック練習、スローイングでの組み立ての確認を何度も行なっていた。そういった面を考慮すると、高校入学までフィールドプレーヤーだったことで培われた両足の技術の高さと、身長196cmというサイズを持ち合わせたシュミット・ダニエル(松本山雅FC・24歳)は、ハリルホジッチにとってうってつけの存在に映ったかもしれない。

 アメリカ人の父と日本人の母を持つハーフで、J2のクラブから召集された唯一の選手として注目を集めたシュミットは、今回の合宿について「現代サッカーではGKのミスが命取りになるということを再確認しました。ハリルホジッチ監督とは、ステップワークに課題があるので、そこを改善していこうと話しました。自分もその点が課題と思っていたので、世界基準からは劣るハイボールの最高到達点というもう一つの課題と一緒に、クラブに帰って伸ばしていきたいです」と振り返った。

 現在、J2の2位につける松本山雅FCで守護神を務め、ここまで12度のクリーンシート(無失点試合)を記録しているものの、今季のパフォーマンスには決して満足しているわけではない。シュミットは「クロス、シュートをこぼしての失点が多い」と課題を口にする。

「シンプルに言うと、他のGKと比べてまだまだ反応速度が劣っている。僕の今季の失点はそれに尽きます。簡単に解決できる問題ではないですが、向き合うべきテーマとして日々取り組んでいます。

 参考にするのは、小さなGKのプレーです。今は、ブラボ(マンチェスター・シティ)をよく研究しています。オブラク(アトレティコ・マドリード)も好きなキーパーですね。なぜかというと、自分の課題であるステップワークや、守備範囲、バネといった部分はサイズの小さい選手から学べることが多いからです」

 高校からGKを始めたこともあり、まだまだ経験という点では他のGKたちに水を開けられているのが現実。だが、見方を変えれば、経験さえ充分に積めばそのポテンシャルが大きく花開く可能性を持つ「原石」でもある。今回の合宿に参加することで、現在の代表GKとの差を肌で感じられたことも、大きな収穫となったと語る。

「代表は決して遠い存在でなく、近くにあると考えています。他の日本人GKにない『高さ』が自分にはある。そういった部分を出していければ、すぐにでも活躍できるイメージがあります」

 ハリルホジッチも、シュミットについて「身体能力の高さは目を引くものがある。これからフィジカル、戦術、テクニックを日々の練習で伸ばしていって欲しい」と期待を寄せていた。

「現代では身長が190cm以上ないと良いGKとはいえない」との持論を標榜する指揮官が追い求める現代型GK。その素養を十分に満たすシュミットは、ライバルたちにない「サイズ」という武器を活かし、まずは代表入りを目指す。

栗田シメイ●文 text by Kurita Shimei