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by The Official CTBTO Photostream

1970年代から潜水艦を用いて海底ケーブルの通信傍受・妨害・改竄が行われてきたという話がありましたが、その活動に潜水艦だけではなく、艦艇も参加していることが指摘されています。

Could a Russian Ship Be Messing With Syria’s Underwater Internet Cables? | Motherboard

http://motherboard.vice.com/read/this-theory-about-a-russian-ship-tapping-syrian-internet-is-weird



話は、2015年9月にロシア軍の艦艇「ヤンター(Yantar)」が、キューバ沖合にいるアメリカの原子力潜水艦艦隊のスパイ行為をしているのではないかと疑いを掛けられたところから始まります。ヤンターはロシア海軍の「海洋観測船」して登録されていて、自律行動する潜水機材を2台搭載していることがわかっています。インターネットトラフィックの管理や環境の監視をしているDynは、ヤンターが潜水艦艦隊を探るのと同時に、カリブ海に敷設されている海底ケーブルの情報を傍受しているのではないか?と疑っていました。

それから1年後の2016年10月、シリアのネット環境が不安定になっていることを知ったDynが原因を探ったところ、折しも前述のヤンターがシリア沖に来ていることが判明しました。

Dynの示す、2016年9月・10月のシリアのネット環境の状態。上は不安定なネットワークの数、下は利用可能なネットワークの数を示していますが、確かに9月中旬までに比べると10月は環境が不安定になっているように見えます。



ヤンターは「海洋観測船」なので、カリブ海にいたり、シリア沖にいたりすること自体はおかしくはないのですが、海事関係ブログ・H I Suttonがヤンターの動きを追跡したところ、地中海を挟んでキプロスとトルコ、およびシリアを結ぶように敷設されている海底ケーブルに接近するような動きをしていることがわかり、ちょうどネット環境が不安定になっている時期との一致が見られたとのこと。

H I Suttonが示す、海底ケーブルとヤンターとの位置関係。これは2016年10月8日の16時46分の位置で、ヤンターがいるのはキプロスとトルコを結ぶ海底ケーブルの近くです。



ただし、海底ケーブルのコンサルタントであるジュリアン・ロール氏は、海底ケーブルは単にファイバーを通しているのではなく、ファイバーの周囲に相当な厚みの保護層があるため、物理的接触を試みるのは困難であり、仮に接触を図ろうとすると浸水を招いて海底ケーブルの機能に影響を与えることになると指摘。地中海東部は地震活動が活発なエリアなので、地震活動の影響なのではないかとコメントしました。

光ファイバーや通信の専門家であるHoward Kidorf氏も、通信傍受はケーブル末端で行う方が、協力を得られる・得られないに関わらずはるかに容易であるということで懐疑的な見方を示しました。

在英ロシア大使館はMotherboardに対して「すみませんが、中身を読んでいないので」とコメントしたとのことです。