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 MarkeZineがスタートした2006年から10年。この間、時代は大きく進化し、マスマーケティングトラディショナル企業もデジタルシフトへ舵取りを進めるなど、マーケティングそのものが10年前のそれとは大きく変わってきた。こうした変化が起こっている中、企業トップのほうが「デジタル時代の組織・人材」についてどのように考え、取り組んでいるのか。9月8日〜9日にかけて開催されたMarkeZine Day 2016Autumnで、キリン株式会社取締役常務執行役員 橋本誠一氏とドミノ・ピザ ジャパン執行役員チーフマーケティングオフィサー 富永朋信氏がパネルディスカッションを行った。

■デジタル対応への遅れを危惧し、専門部署を設立
左から、キリン 取締役常務執行役員 橋本 誠一氏
ドミノ・ピザ ジャパン 執行役員 チーフマーケティングオフィサー 富永 朋信氏
翔泳社 MarkeZine編集部 編集長 押久保 剛

押久保:ここ10年間でマーケティングを取り巻く環境は激変しました。そこでこのパネルディスカッションでは、企業トップのほうがデジタル時代の組織や人材についてどう捉えているのかを問いかけ、皆様と共に考えていきたいと思います。お二人ともMarkeZine Dayの講演は初めてですので、どういう話になるか、非常に楽しみです。まずは橋本さんからバックグラウンドを含め、現在どのような取り組みをなさっているのかお話を伺えますか。

橋本:私は1978年にキリンビールに入社して以来、言わば定点観測でマーケティングの変化を見てきました。これまでの私たちは、マス広告を中心に、自分たちの決めた価値をどうやってお客様に伝えるか、ということをずっと考えてきました。

 こういったメーカー主語、キリン主語のマーケティングをお客様主語のマーケティングに変えていこう、ということを言っています。お客様の経験から生まれる価値は、決めるのもお客様です。これからは、お客様との対話を通じて、価値を発見し、分かち合うマーケティングに変えていかなければならないと考えています。

押久保:キリンは昨年からデジタルマーケティング強化に向けて、抜本的に組織体制を見直され、外部からの知見を積極的に取り入れていらっしゃいますよね。この話を伺って、個人的に「デジタル時代がもたらす変化の象徴の一つだ」と感じておりました。

橋本:やはり、デジタルマーケティングへの取り組みが遅れているという危機意識がありました。そこで、3年前に専門部署を立ち上げました。キリングループでは、キリンという統括会社のもとに、キリンビール、キリンビバレッジ、メルシャンという事業会社があって、それぞれにマーケティング部門があります。一方、キリンにはブランド戦略やCVSを推進するCSV本部というCMO直下の組織があり、そこにデジタルマーケティング部を置きました。

■「お客様からクレームが来て初めて本当の姿がわかる」ではいけない

押久保:ありがとうございます。一方の富永さんは、外資系企業を中心にマーケティングの専門家としていろいろな企業を渡り歩き、直近では西友のCMOを務め、現在はドミノ・ピザ ジャパン執行役員チーフマーケティングオフィサーに就任されています。

富永:社会人になって初めて勤務したコダック社から、今のドミノ・ピザまで7社でマーケティングを担当してきました。今はアドテック東京のアドバイザリーなどもやっています。仕事を進める上での信念は「鏡を見るな」「面白さ>正しさ」「びっくり、なっとく」の3点です。

 「鏡を見るな」とは、「鏡の前で格好つけている姿が真の姿ではない」ということ。特に会社役員をやっていると、周囲はみんな良いことしかいわないので、つい“格好つけている姿”を真の姿と捉えがちです。お客様からクレームが来て初めて本当の姿がわかる、これではいけません。

 また、人を動かすには「正しいこと」だけでは不十分です。何千という会社がマーケティングを競う中、心を動かして態度を変容させるには、「おもしろい」「びっくり」で心を動かし、納得してもう必要があります。この三つを念頭に置いて、仕事をしています。

押久保:富永さんは転職経験が多く、「新参者」として入社していろいろなご苦労もあったことでしょう。今回のディスカッションでは、ぜひそういうエピソードもお話しください。

関口 達朗[写]、岩崎 史絵[著]