耐え続けた後に訪れた好機をモノにしたインテル。それまでのチャンスをゴールに結び付けられなかったサウサンプトンにとっては、痛恨の失点だった。 (C) Getty Images

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 10月20日(現地時間)、ヨーロッパリーグ(EL)のグループステージ第3節が行なわれ、インテルが1-0でサウサンプトンを下した。
 
 週末の国内リーグのスタメンからは、インテルが4人、サウサンプトンが6人を入れ替えて臨んだこの一戦、長友はEL第1節以来、吉田はELでは3戦連続となるスタメン出場。国内リーグでは、前者が2試合、後者は1試合の出場に止まっており、この試合でのアピールが期待された。
 
 開始直後から攻勢に出たのはアウェーのサウサンプトン。積極的なプレーからインテル・ゴールに迫っていく。対するインテルは3分、CBファン・ダイクから吉田へのパスが乱れたところでイカルディがボールをカット、ヒールパスで味方へ繋ごうとするも、GKフォースターに阻まれた。
 
 その後は、完全にサウサンプトンのペース。攻守の切り替えが速く、前線から厳しくプレッシャーを仕掛けることで、良いかたちでボールを得、それをシンプルながらも効果的な攻撃に結び付けていく。
 
 9分に縦パス1本からFWロングが抜け出して好機を得た他、28分にはロドリゲスがマックイーンとのパス交換から決定機を迎え(長友がゴールライン上でクリア)、その直後には右サイドを攻略してウォード=プラウズがわずかにクロスバーを超えるダイレクトシュートを放った。
 
 ゴールまであと一歩という場面をたびたび迎えるアウェーチームに対し、インテルはまともに攻撃のかたちを作ることができない。サウサンプトンとは対照的に攻守の切り替えが遅く、パスの出しどころに窮して無理なプレーに走り、結果的に奪われてピンチに陥った。
 
 33分にイカルディのスルーパスからエデルが抜け出した場面、41分に吉田のクリアボールをダイレクトで叩いたエデルのシュート以外、インテルの攻撃に見るべきものはなかった。
 
 両者スコアレスで迎えた後半も、サウサンプトンが最初から主導権を握り、51分にロドリゲスが抜け出してシュート(CBミランダがスライディングでブロック)、55分にもタディッチがきわどいシュートを放つ。
 
 インテルは54分、58分とイカルディに良いかたちでボールが入ったが、いずれもマーカーの吉田にシュートコースを潰されて枠にシュートを飛ばすことができない。
 
 60分あたりから、サウサンプトンの動きがやや減り、インテルがボールを持つ時間が増え始めたものの、効果的なプレーはアウェーチームのほうがはるかに多かった。しかし先制点は、苦しむインテルにもたらされた。
 
 67分、左サイドからSBサントンが仕掛けてグラウンダーのクロスを入れる。これにカンドレーバが素早く反応し、CBファン・ダイクより前に出てゴール左隅に突き刺した。実にあっさりと決まったゴール。サウサンプトンにとっては、虚を突かれたかたちの痛恨の失点だった。
 
 以降、インテルは勢い付き、ますます運動量の減ったサウサンプトンは相手ゴールに近付けずにいたが、77分にブロゾビッチが後方からの危険なタックルで2度目の警告を受けて退場となり、サウサンプトンは数的優位を得る。
 
 82分、右サイドからのFKで抜け出したファン・ダイクがフリーで決定的なダイレクトシュートを放つも、GKハンダノビッチのブロックに遭う。88分にはCKを再びファン・ダイクが頭で合わせたが、これはゴール前に立ちはだかった長友に蹴り出された。
 
 再度のCKでもオースティンがこぼれ球をダイレクトで叩くも、至近距離でハンダノビッチに防がれる。決定機を全て逸したサウサンプトンに、これ以上のチャンスが訪れることはなかった。
 
 2連敗で崖っぷちに立たされていたインテルは、苦しみ抜いた上で1点を守り切り、貴重な勝点3をゲット。一方、内容でははるかにホームチームを上回ったサウサンプトンにとっては、悔いの残る一戦となった。
 
 最後に日本人選手だが、長友は粘り強い守備を見せ、前述した通り、ゴールライン上で2度も失点を防いだ。攻撃に関しては目立ったプレーはなかったが、チームとして攻撃が機能しないなかで、攻め上がるのは難しかっただろう。
 
 吉田も攻撃については、最後尾からの展開におけるロングパスの精度には難があったものの、本職の守備ではイカルディをしっかり封じ込めた。競り合いだけでなく、読みやカバーリングもほぼ問題なし。国内リーグで開幕戦以降出場なしという状況を考えても、十分に評価できるだろう。