秋ですね(画像はイメージです)。

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秋になると、毎年決まってどこか物悲しい気分になってしまう。
これってなぜなのだろうか。

「寒くなると人肌恋しくなる」なんて言うけど、そんな時期でもないし……。特に夕暮れどきなどは、より一層寂しさが募る気もする。
季節や、時間帯による心の変化について、精神科医で「ゆうメンタルクリニック」総院長の、ゆうきゆう先生に聞いた。

秋の気候が心にも影響


「季節ごとのイメージ自体も関係していそうですが、物理的な面では、秋になると気温が徐々に低下するほか、日照時間が減少することなども影響していると考えられます。 日照時間の長さや気温は、体感だけでなく心にも影響を与えているものです」
例えば、「なんとなくやる気が出ない」と感じることが多かったり、身体の不快感から不安を感じやすくなったりすることもあるそう。

「また、秋には『生き物が冬の準備をする期間』といったイメージもあります。植物が紅葉し、落ち葉が増え、夏の間たくさんいた昆虫も姿を消し始めます。 生き物にとっては冬支度=冬眠(休眠)の準備期間ともいえるので、夏から秋になることで、冬が近づくことを肌で感じ始める。それが、どことなく寂しい気持ちにさせてしまうのではないでしょうか」

夕暮れで無意識に呼び起こされる「何かが終わる」感覚


夕暮れどきや、休みが終わる週末の終わり頃などにも似たような気持ちになる人が多くいるが、これらも同様に「何かが終わる」「楽しい時間が終わってしまう」という感覚が無意識に呼び起されている可能性が高いと考えられるそう。
「『今日が終わる』というのはそれなりに大きくなってから理解できることですが、例えば乳幼児期であっても一日が終わる夕方くらいには気温変化が一番大きいせいか、不安を感じて泣きだす子供が少なくありません。 秋は時間帯でいうと、ちょうどこの『夕暮れ』に該当するように思います。 子供の頃ならば、友達が一人二人と家に帰っていく時間、お別れの時間です」

とはいえ、夏の夕暮れと秋や冬の夕暮れはまた違った感覚を覚える人が多いのも事実。

ちなみに、冬になると寂しさや孤独感を抱く人、人恋しさを強く感じる人が多いそう。
「これは、気温の低下が生命維持において不安を抱かせやすくなること、日照時間の短さによってセロトニンが普段より分泌されにくくなっていることなどがあります。そう思うと、冬の前の秋にも、その序章として同様の心理的変化が起きやすくなると言えるでしょう」

こうした秋の物悲しさ、寂しさを軽減させるには、適度な運動や、気温変化や日照時間の減少への対応の工夫がオススメだとか。
とはいえ、秋の物悲しさや侘しさって、案外心地よいものですよね。
(田幸和歌子)

※ゆうきゆう 精神科医・著書多数。ゆうメンタルクリニック総院長(上野院)。(池袋東口院)。(新宿院)。(渋谷院)。(秋葉原院)。(池袋西口院)。(ゆうスキンクリニック池袋西口院)。心安らげるクリニックとして評判が高い。