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●KDDIが始める新サービス
KDDIがIoTビジネスを加速するために動き出した。IoTプラットフォームを提供するソラコムと手を組み、企業がIoTビジネスを容易にスタートさせるための枠組みや料金体系を整える。サービス開始は12月以降の予定で、今回の取り組みにより、KDDIはIoTビジネスに本腰を入れる構えだが、パートナーはドコモ色を持つ、ちょっぴり複雑な関係なのだ。

○KDDIがIoTで新たな展開

KDDIはソラコムと共同開発したIoT向け回線サービス「KDDI IoT コネクト Air」でIoT分やでの新たな展開を図る。

21世紀初頭からM2M/IoT分野でサービス提供を行ってきたKDDIだが、ここにきて次のようなニーズが寄せられているという。通信サービスの申し込みの簡便さ、少数回線からでも行えるスモールスタートに適した利用、顧客側で通信料や利用状況を把握できるシステム、IoTビジネスに適した料金体系などだ。

KDDIではこれまで、営業経由で申し込みを受け、相対契約での料金相談に乗り、運用サポートも行うなど、ある意味、手厚い支援を行ってきた。その反面、スモールスタートでIoTを始めたいという企業が多数おり、そうした会社にとってはハードルになる側面もあった。

「KDDI IoT コネクト Air」であればこうした課題を解決する。ウェブから容易に申し込み、SIMの発行も行える。ほかにも、SIMの発行や管理、通信の速度変更や監視も容易にでき、通信の中断や再開といった状態変更、速度の制限などがウェブからでき、今回のサービスによって、利便性が大きく高まるという。

料金体系もシンプルだ。初期費用は1SIM当たり、基本料は1日10円(利用中断中は1日5円)という把握しやすいもので、32kbps、128kbps、512kbps、2Mbpsの4つの回線速度ごとに定められたデータ通信料を支払うことになる。

●パートナーはちょぴり複雑な関係?
○ソラコムはドコモのMVNO

注目したいのは、KDDIの新サービスがソラコム提供のIoT向け回線サービス「SORACOM Air」と同様の特徴を備え、ほぼ同一の料金体系であることだ。「SORACOM Air」は2015年9月のサービス開始以降、4000を超えるパートナーに利用され、IoTの分野では注目を浴びているサービスでもある。今後も「SORACOM Air」は提供していくという。そこが気になるのは、ソラコムがNTTドコモの回線を利用したMVNOでもあり、ドコモの代理と考えると、KDDIにとってはちょっぴり複雑な関係といえるからだ。

もちろん、ソラコムのサービス(ドコモ回線)ではなくKDDI回線を利用したい、もしくは両方の回線を利用したいという企業もあるだろうが、KDDIがIoT分野で成功を収めるには、何とも心許ない。そもそも、KDDI単独でサービス展開を図るべきだったのでは? と思えてしまう。

○KDDIはどうするか

その点に関して、KDDIは急激なIoTのニーズの高まりに対して、いち早く商用サービスを提供するためにソラコムと共同開発したと説明する。一から仕組みを構築するよりも、ソラコムと共同開発を行い、KDDIの強みを生かしたほうが得なのだろう。

その強みのひとつが営業力だ。企業のIoTの利用意向について「企業内でのコンセンサスが取れたような状況」「経営陣からのIoT利用の指示が出始めたような段階にある」というのがステージだ。そうした状況において、サービスを用意して、待ちの姿勢を貫くのではなく、全国のKDDI営業ネットワークを活用して積極的に攻めることが有効と見ているようだ。

営業力だけではない。アプリケーションやクラウドサービスといった上位レイヤー部分でも差別化を図れるのもKDDIの強みだ。IoTにはネットワークを経由してデータを集め、それをアプリケーションで表示、状況を人間に認知させる必要がある。通信部分だけではなく、上位レイヤーで勝負をしていこうというのがKDDIの戦略だ。IoTを巡るビジネスはまだ始まったばかりであり、こうした戦略がKDDIの想定どおりに進むのか。評価をするには少し時間がかかりそうだ。

(大澤昌弘)