“普通の人”である主人公にひかれたという (C)STUDIOCANAL S.A. 2015

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 「裏切りのサーカス」や「ナイロビの蜂」、ドラマ「ナイト・マネージャー」の原作者ジョン・ル・カレのスパイ小説を映画化した「われらが背きし者」で、MI6(英国秘密情報部)とロシアンマフィアが絡んだ騒動に巻き込まれる大学教授ペリーを演じたユアン・マクレガーが、作品の魅力を語った。

 マクレガー演じるペリーは、過去のある出来事から妻で弁護士のゲイル(ナオミ・ハリス)との関係に亀裂が生じたという役どころ。夫婦で訪れたモロッコ旅行中にロシアンマフィアのディマ(ステラン・スカルスガルド)と知り合い、親切心からディマを手助けしたことから、日常が一変する。マクレガーは「彼は今の自分に満足していないんだ。情けないことをしてしまって夫婦関係が悪化し、自ら生んでしまった亀裂を懸命に修復しようとしている。キャラクター的に、そういうストーリーの始まり方が面白いと思ったんだ。自身が犯した過ちを後悔していて、それをつぐなおうとしている。興味深い入り口だと感じたよ」とキャラクターの背景に言及する。

 マクレガーは、物語の導入部だけでなく「構成もよかった。脚本のよさにびっくりしたよ。ものすごく気に入った」と「ドライヴ」や「ギリシャに消えた嘘」も手がけた売れっ子、ホセイン・アミニによる脚本を絶賛する。「メインのキャラクターが4、5人いるんだけど、どれも面白くて、その関係性に心動かされた。ペリーというキャラクターにひかれたのは、サスペンス映画の主役らしからぬ人物だったからだと思う。彼はアクションヒーローではない。普通の人なんだ。僕はそういう役にいつもひかれるのさ」。

 「ダ・ヴィンチ・コード」シリーズの第2作「天使と悪魔」以来の共演となるスカルスガルドとは、役作りの一環であえて険悪な雰囲気を作り出したという。「ステラン(・スカルスガルド)が僕と対立するシーンがあったんだ。そのシーンを撮る前に、彼はいきなり僕をののしり始めたんだよ。『マクレガーのこのクソ野郎め!』って。だから僕も言い返してやったんだ(笑)。シーンに向けて気持ちを高めていくためだったんだけど、面白かったよ!」。互いに信頼関係が築けているからこそのエピソードといえるが、マクレガーは「それ以降も、たまに互いの悪口をメールで送り合っているんだ。彼から『マクレガー、お前はクソ犬だ』というメールを受け取ったら、僕もやり返したりしてね」とニッコリ。撮影後も、ペリーとディマとしての関係を楽しんでいるようだ。

 妻役のハリスについては「最初から僕はナオミ(・ハリス)に演じてもらいたかったんだ。僕の妻になってほしいと思っていた(笑)。最高の時間を過ごせたね」と振り返る。本作では、組織を裏切ったディマとペリーの息もつかせぬ亡命劇だけでなく、ペリーとゲイルの夫婦の関係の変化も重要なキーとして描かれる。「どん底の状態からストーリーが始まり、少しずつ夫婦関係を改善させていくというのもチャレンジだった。こういう作品ではリスクの高い手法だと思うんだ。互いに怒りを抱いていて、仲の悪そうなシーンを最初から見せてしまうと、観客の心が離れてしまう危険性があるからだ。でも本作は勇敢にもその道を選択し、結果的に成功していると思うよ」と手ごたえを語った。

 「われらが背きし者」は、10月21日から全国公開。