専門誌では読めない雑学コラム
■木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第76回


 14本入れているクラブの中で一番使うクラブは、パターです。1ホールで平均2パットしても、36回はパターを打ちます。ドライバーやピッチングウェッジを多用しても、1ラウンドで36回は使わないでしょう。

 これだけ頻繁に使用するクラブなのに、たいがい練習はコースに行ったときだけ。皆、普段行く練習場でもあまりグリーンを見かけないからか、パターの練習は本当に少なめです。実際のところ、一番スコアメイクできるクラブなんですよ。

 そんなパットのよもやま話を、今回は綴っていきたいと思います。

 まずは、素朴な疑問をひとつ。

「距離表示はヤードなのに、なんでパットだけメートルで言うのか?」

 そうだっけ?って、今頃気づいた人もいるのではないでしょうか。

 これは昔、日本では距離表示をメートルで示していた、その名残り、という説があります。

 英米ではヤード表示が多く、他にフィートを使用しているところもありますが、日本人はメートルに慣れ親しんでいたので、昭和40年代あたりまではゴルフコースでもメートル表示が主流でした。それが、なんでヤードになったのか。諸説ありまして、ヤード表示の英米の真似をした説と、結構飛んだ気分になる説が有力です。

 飛んだ気分説は、ドライバーで「200メートル飛んだ」というより「220ヤード(※おおよそメートル×1.1がヤード)飛んだ」というほうが、すごそうに見えるから、というものです。笑えますね。

 ただ、パットだけは自分にピンと来る距離表示がフィットする。だから、グリーン上ではメートルで、という認識が残ったようです。真偽のほどはわかりませんけど......。

 さて、そのパットを打つパターですが、コースの中ならどこでも使えるのか? はい、使えます。

 昨年、ショートコースでの話ですが、40ヤードの打ち下ろしのホールで、ティーショットでパターを使って、見事パーを取りました。実際には同伴者に「10メートル打つと、ボールが崖から転がっていくからやってみて」と言われて、冗談で打ってみたんですけど、本当にボールが転がりまくって、カップ脇にナイスオンしたんです。

 また、練習でショートコースをパター1本でラウンドしたことがあります。パターって、ティーアップして打つと、低い球筋ながら結構飛距離が出ることにびっくり。50〜60ヤードは飛んでいきます。

 というわけで、パターにロフトがあるのを知っていました?

 パターのフェースって、真っ直ぐな絶壁じゃなかったの?って、思うでしょ。でも、違うんです。実は、2度から4度くらいのロフトがあるんです。だから、激しく打ったり、カラーから強く打ったりすると、ぴょんとボールが跳ねる場合があるんですね。

 この"跳ねる"というのは、やり方によっては技になります。そのため、6度ぐらいのロフトがあるパターもあるんだそうです。長い距離を打ったり、セミラフやカラーから打ったりするときは、その効果がてきめんなんだとか。

 タイガー・ウッズが全盛期のとき、ドライバーのロフトは7.5度でしたから、6度のパターだと大してロフトが変わりません。そういえば昔、タイガーはウッドでコロコロとアプローチをしていました。それと同じ感じでしょうか、ロフトが6度あるパターは。

 興味のある方は、パターを2本入れて試してみてはいかがでしょう。案外、強い武器になるかもしれません。

 そんなわけで、パターが一番使うクラブだと言いましたが、アマチュアの場合は、もっともっと使ってほしいと思います。現状からさらに使用するとしたら、やはりアプローチですね。

 みなさん、パターでのアプローチは"下手な証"みたいに思っていませんか? まったく問題ないですよ。特に全英オープンなんか、トッププロがパターでアプローチしまくっていますから。パターでアプローチしても、ぜんぜんカッコ悪くないんです。

 その場合の距離ですが、個人的にはどうがんばっても40メートルくらいでしょうか。確実に転がるという意味では、30ヤード強ですかね。ということは、フェアウェーからカップまで30〜40ヤードの距離なら、パターで打ったほうが確実にグリーンに乗るってことです。

 ポイントは芝目です。フェアウェーの芝が長くても、順目なら結構転がります。逆目でも転がるには転がりますが、幾分強めに打つことになるでしょうか。まあ、あとは"慣れ"が大切ですね。

 長い距離のパットは「距離感がつかめない」と言って嫌う方がいますが、そういう方は、ウェッジでアプローチしたら、ピタッとカップに寄せられるのでしょうか?

 一度、アプローチのできる練習場などで試してみてはいかがでしょう。パターとウェッジで3球ずつ打って、30ヤードを寄せてみる。結果は、パターのほうがカップ近くに寄せられると思います。

 それはなぜか? パターの注意点はストローク、すなわち距離感だけで済むからです。

 でも、ウェッジの場合は、ライによって打ち方が変わります。芝が薄い、逆目、左足上がりなど、さまざまなライがあって、そのライごとに打ち方を工夫しなければなりません。そこで、ざっくりやトップなど、ミスする可能性が高いんです。

 その点、パターはどんなライでも打ち方はひとつ。ストロークのみですから、安定感が増すわけです。

 超簡単に言えば、電車と自動車の運転の違いですか。電車はスピードのみでしょ。要するに、ハンドル操作がいらないパターは、すごく楽ってことですね。

■木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa