「最後の大市場」アフリカへ投資をすすめる理由

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8月27、28日に、ケニア・ナイロビにて第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)が開催された。近年は経済成長率が鈍るも、2020年には中間層がアフリカの全人口の3割を超える約4億3,470万人に達すると言われる。

「最後の大市場」アフリカへの日本の民間投資は、これをきっかけに進むのだろうか。TICADの共催者である世界銀行グループの、MIGA(多数国間投資保証機関)・本田桂子長官に、アフリカの「今」について聞いた。

世界の開発途上国向けの対外直接投資(FDI)は、ドルベースで見ると2012〜13年から増えていません。しかし、このような状況の中で日本からの開発途上国向けの対外直接投資は増えているのです。ただ、アジアへの投資が多くを占め、対アフリカは、全体の0.8〜1%と極端に少ないといわざるをえません。

「コモディティスーパーサイクルの終焉」などと言われていますが、過去2年ほどの原油などの一次産品価格の下落を背景に、アフリカ全体でみると、03〜08年のGDPは実質ベースで6.8%成長していたのに、16年は3.3%と成長が鈍化しています。要因としては、一次産品価格下落の影響に加え、電力不足、政治不安、干ばつ、安全保障上の脅威が挙げられます。

他方で政治状況が安定しているコートジボワールなどの資源輸入国では、引き続き堅調な成長が見られています。17〜18年にかけては、一次産品価格が安定し、アフリカ域内の経済大国が徐々に回復すれば、4.5%程度までの実質GDP成長率の回復が見込まれる、と世界銀行では予測しています。

日本企業の進出余地は多くある

ジオポリティカル(地政学的=Geopolitical)リスクという言葉も、以前に増してよく耳にするようになりました。地政学的リスクの高まりを感じる方が増えてきたようです。一方、リスクのないところにリターンはありません。

我々は「De-Risk」と呼んでいるのですが、MIGAが提供しているような政治リスク保険や信用保証を使ってリスクを低減することは可能です。MIGAでは、民間の投資家の方々に、開発効果のある投資をしつつリターンをあげていただけるよう、リスクマネジメントのための保険と保証を提供しています。特に、革新的なプロジェクト、低所得国向け投資を支援しています。

コモディティスーパーサイクルの期間も含めて経済成長率が高かった時期は、アップサイドが取れればリスクも許容できる、という傾向がありました。しかし、経済成長率、金利も低い昨今、アップサイドがあまり望めません。そこで、「De-Risk」によりリスクのマネージを志向する投資家が増えてきたとみています。

また、リスクに対する処方箋としては、分散も効果的です。日本企業にはアジア一極集中も多いようですから、アフリカなどにも投資してリスクを分散させるべきです。MIGAは、こうした投資をぜひとも支援したいです。

世界銀行グループの目的は、「貧困の撲滅」と「繁栄の共有」。MIGAは、インフラなどの大型案件が多いのですが、開発効果の高い投資なら、どんなに小さな案件であっても支援することを戦略のひとつとしていて、最低投資単位を設定していません。

MIGAで提供しているのは、”政治リスク保険”と”信用保証”のふたつです。政治リスク保険では4種類のリスクをカバーしています。1)海外送金と兌換、2)政府が契約を守らなかったときのための契約不履行、3)適切な価格を払うから、資産等を置いて出ていってほしい、といった国営化・収用、4)戦争や内乱等からのビジネスや資産への損害。以上の4つです。

信用保証は、開発途上国のうち、中所得国の債務を保証することで、資金調達コストの低減を支援しています。

MIGAが、アフリカで政治リスク保険を付けさせていただいた日本企業の事例では、日立建機のザンビア進出があります。元々南アフリカに鉱山のメンテナンス工場をお持ちでしたが、メンテナンス向上には鉱山の近くにあった方がよいということで、ザンビアに工場を新設し、現地雇用もされています。