孫正義の師匠×経済予測のプロ 【スペシャル対談】

写真拡大

経済の現場で活躍する人に向けて『ビジネスで使える経済予測入門』を上梓した中原圭介氏と、孫正義氏らベンチャー経営者が師と仰ぐ野田一夫・日本総合研究所名誉会長が、日本の進むべき方向について語り合う。

大きな組織のトップほど言い訳が多くなる

野田 日銀の黒田東彦総裁は情けない男だね。「IMFの見通しの通り、来年にかけて成長が加速する」と述べたり、2%の物価目標が達成できないと「原油価格の下落は想定外だった」と言い訳したりしている。「自分が間違っていました!」と言うのなら男らしけれども、IMFの予想の通りになると言っておいて、うまくいかないと「想定外」と言うのでは、まるでIMFのほうに責任があるような言い方になる。こんなことを言われたら、IMFから文句が出てもいいくらいじゃないかな。

中原 それに比べると、創業型の経営者は実に潔いですね。たとえば、ファーストリテイリングの柳井正さんは、業績悪化の原因が自分の判断の誤りにあるとして、公の場で反省の弁を述べています。アベノミクスを信じてインフレになると思ったユニクロでは、2014年に5%、2015年に10%と2年連続で値上げをしたのですが、その結果、消費者の離反を招いて業績が悪化してしまいました。そこで柳井さんは値上げが通用しなかったことを正直に認め、ただちにユニクロ全店で値下げを実行したのです。その点では、日銀の黒田さんとは大違いですね。

野田 経営者が潔くせざるをえないのは、成果がはっきりと出てしまうから。赤字が3期も4期も続いたら、偉そうなことを言っても誰も相手にはしてくれないよ。エコノミストにはそういった面がないんだよね。
 最初から「IMFによるものであって、私の意見ではありません」と言えばいいのに、うまくいかないと「想定外だった、IMFも間違っていた」というのはおかしな話だ。

中原 たしかに、野田先生を師と仰いでいるソフトバンクの孫正義さんやエイチ・アイ・エスの澤田秀雄さん、パソナグループの南部靖之さんのような創業経営者の人たちは、結果について言い訳をしませんよね。しかし、経営者でもサラリーマン社長には潔いとは言えない方々が数多くいるように思います。
 大手と呼ばれる銀行や商社、メーカーなど、経団連の役員になるような経営者の方々は、大半が潔くない気がします。たとえば、三井物産や三菱商事は2016年3月期に創業以来初の赤字に陥りましたが、その原因について「市場環境の変化のため」とか「資源価格が下落したため」といった説明をしたのです。このような説明には「なぜそうなったのか」という最も大事な理由が抜け落ちていたわけです。

続きはこちら(ダイヤモンド・オンラインへの会員登録が必要な場合があります)