1

2016年8月に出されたIZAの研究によって、アメリカ人はヨーロッパ諸国の人たちよりも平均して25%も長い時間、働いていることが明らかになりました。1970年代にはほとんど同じだった労働時間にここまで大きな差が広がった背景に何があるのかについて、研究では考察されています。

Hours Worked in Europe and the US: New Data, New Answers

(PDF)http://ftp.iza.org/dp10179.pdf

Americans Work 25% More Than Europeans, Study Finds - Bloomberg

http://www.bloomberg.com/news/articles/2016-10-18/americans-work-25-more-than-europeans-study-finds

アリゾナ州立大学のアレクサンダー・ビック教授らの研究では、アメリカやヨーロッパを中心に、多数の国の労働環境を調査しています。研究では、より労働実態に近いワークスタイルを簡単に比較しやすいように、雇用契約を結んで安定的に働いている人だけでなく、日雇い労働者や非正規労働者、パートタイム労働者、リタイヤ後も何らの労働を行っている人なども含めて、労働時間がカウントされています。

この研究によると、平均的なヨーロッパ人はアメリカ人よりも19%も仕事が少なく、年間で258時間も労働時間が短いという結果になりました。これは時間で言えば、アメリカ人はヨーロッパ人よりも25%も長く働いていることになるとのこと。また、アメリカでは仕事をリタイアする期間がより遅くなり、バケーション(長期休暇)の日数もより短くなる傾向が確認されました。労働時間の長さは労働生産性の低さを表しているため、なぜ、アメリカがヨーロッパに比べて労働生産性が悪いのかについての原因は以下の通り考えられています。

1つは、アメリカ人が、残業を多くしているからというもの。より多くのお金を稼ぎたいと考えたり、昇進したいと考える人たちが、意欲的に超過労働をこなしているため、全体的に労働時間が長くなっていることが指摘されています。



さらに税金についても原因であると考えられています。アメリカの税金は、ヨーロッパに比べると潜在的に低いところ、税金の高さは超過労働によって稼ごうというインセンティブを低くする可能性が指摘されています。カリフォルニア大学ロサンゼルス校のリー・オハニアン教授は、「実質的にアメリカ人はヨーロッパ人よりも裕福な理由の一つに、税制上、ヨーロッパ人が労働意欲を低下させられているという事実がある」と述べています。



また、労働組合の存在もアメリカとヨーロッパの違いを生んでいるという指摘もあります。さらに、一般的な年金制度の違いも、働き方に大きな影響を与えているとのこと。アメリカでは過去50年の間で、最も多くの65歳以上人口が労働に従事していますが、これは、アメリカでは伝統的な年金制度から401kにシフトしてきたことで、リタイア後の生活が安定だと考えるアメリカ人が少なくなってきたからだと考えられています。