『脳神経外科医が教える 病気にならない神経クリーニング』(工藤千秋著、サンマーク出版)は、著者の言葉を借りるなら「あらゆる不調を招く『老化した神経』を若返らせて、病気にならない体をつくる本」。

そして著者は、神経とは、命をつなぐ生命線であり、「若い神経には、すべての不調を遠ざける力が備わっている」と考えているのだそうです。

つまり、神経が体のなかではいちばん大事で、その神経が若返ればすべての不調は吹き飛んでいくということ。

■替えのきかない神経はクリーニングするしかない

そのような考え方をもとに、神経を若返らせる方法として著者が考えたのが「神経クリーニング」。

なぜなら神経は体のなかで唯一替えがきかない部分であり、簡単には新しくつくれないから。

心臓や肝臓などの臓器や血管ですら移植は可能なのに、現代の医術をもってしても、神経の移植はとても難しいのだそうです。

また、細胞や血液は毎日新しいものがつくられて入れ替わりますが、神経は新調することが不可能。

だとすれば、神経を若返らせたいのなら、クリーニングをしていまある神経を磨くしか方法はないということ。

■人間は20以上もの感覚を神経から脳に伝えている

そもそも著者は常日頃から、「人間は神経でできている」と考えているのだそうです。

その証拠に、「五感を研ぎ澄ます」どころか、人にはもっとたくさんの感覚があるのだといいます。

私たちはバランスや痛み、温度、のどの渇きなど、20以上もの感覚を認知できるといわれているそう。こうした感覚をもとに、まわりでどんなことが起きているのかを感じ取ることができるということです。

視覚や聴覚、嗅覚、味覚、触覚をはじめとするこうした感覚は、神経の働きに大きく依存しているもの。いわゆる五感も、神経を通さなくては脳に伝わらないわけです。

よって、「五感を研ぎ澄ます」ということは、「神経を研ぎ澄ます」ことと同じだという考え方です。

たとえば本を読んでいるとしたら、その間にも神経はフル活動し、さまざまな感覚を脳に伝えてくれているといいます。

文字を読むためには視覚から得た情報が欠かせませんし、本のページをめくるときにも指先から伝わってくる感覚が必要。また、開いた本がぐらつかないように固定できているのも、バランス感覚をつかさどる神経が働いているから。

こうしたさまざまな感覚が電気信号となって神経を流れ、瞬時に脳へと届けられているからこそ、本を読むことができるというのです。

何気なく行っているように思えても、実はとても複雑なことだということ。

■健康の維持には中枢神経より末梢神経のほうが大切

ところで、人間の体じゅうに張り巡らされた神経の長さは、72キロメートルにもなるといわれているのだそうです。

しかも、そのなかを走る電気信号は、時速400キロもの超高速スピードで行き来しているのだというのですから驚き。

まさに人間の神経は、スーパーコンピュータを凌ぐほど精巧で、複雑な構造になっているということ。

地球上の生き物で、これほどまでに神経が発達しているのは人間だけ。知能が高いチンパンジーですら、人間にくらべたら神経のつくりはずっと単純なのだそうです。

そして医学的に厳密に分けると、神経は次の2つに分類されるといいます。

(1)中枢神経:脳と脊髄のこと。指令を出す役割。

(2)末梢神経:脳や脊髄と体をつなぐ神経。指令や情報を伝える役割。末梢神経のなかでも、呼吸や心臓の鼓動、食べものの消化や汗をかくことなど、自分の意思とは無関係に体の機能を調節している自律した神経のことを「自律神経」と呼ぶのだそうです。

このように医学の世界では、中枢神経と末梢神経の2つをひとくくりにして「神経」と呼んでいるわけですが、著者はこの2つのなかでも末梢神経のほうが大切だと考えているのだとか。

なぜなら、末梢神経を若く健全な状態にすることこそが、真の健康につながるから。

こうした考え方を軸として、本書の以後の章では神経クリーニングの方法をわかりやすく解説しています。

神経クリーニングをするだけで、血圧が正常値に戻ったり、体脂肪が減ったり、近くが見えはじめたり、記憶力が戻ったり、ひざが曲がるようになったりするなど、全身に多くの効果が表れるのだとか。

病気になりにくい体をつくるために、読んでおくといいのではないでしょうか?

(文/作家、書評家・印南敦史)

 

【参考】

※工藤千秋(2016)『脳神経外科医が教える 病気にならない神経クリーニング』サンマーク出版