10月3日からスタートしたNHKの朝ドラ『べっぴんさん』。その日の視聴率は21,6%と、2013年上半期の『あまちゃん』から8作連続となる初回20%超えを記録しました。

見る人に大号泣をもたらした『とと姉ちゃん』の最終週、主役の高畑充希さんがインスタグラムに投稿。収録現場で坂東すみれ役の芳根京子さんにバトンを渡す写真に、「とと姉ちゃんを見て下さった方はどうぞそのまま。見ていなかった方は新しく。がんばる芳根ちゃんを必ず、見てください」という愛らしいコメント。この投稿を見て『とと姉ちゃん』の終わりを寂しく感じながらも「次の『べっぴんさん』も楽しみにしていた」と言う人も多かった。しかし、2週目に入ったころから「つまらない……」という声があちこちから聞こえてきます。

意外、というべきか、平日働いているにもかかわらず、リアルタイムで朝ドラを見ている独身アラサーOLは少なくありません。

「子どもの頃からの習慣になっていて、朝ドラを見ないと一日が始まらない」「朝ドラを見て、『あさイチ』のイノッチと有働アナの“朝ドラ受け”を確認してから出勤するのが日課」と、朝ドラを生活の一部としてとらえている様子。年季の入った筋金入りの朝ドラウォッチャーだからでしょうか、朝ドラを見る目もシビアです。

独身アラサーOLの中で、一番多い意見は、「主人公に共感できない」です。

『べっぴんさん』の第1週は、朝ドラの女の生きざま系ストーリー定石通り、ヒロインの幼少期が描かれていました。

まず、これが「菅野美穂さん演じる母親にスポットがあたっていて、主役はおきざり。確かに、自分の死を予感した菅野美穂のナレーションには泣きましたが、ドラマで見たいのは、母親の死をどう感じたかっていう主役の気持ちじゃないですか。そこがはしょられてしまっては、主人公に感情移入できないですよ」と不満を呼びました。

そして、第2週に入り、「なんだこりゃ」感情が爆発。その前の週に、初恋の相手が自分の姉と結婚してしまうという失恋をした主人公。懐かしい少女漫画のような展開に、「おもしろいことになるのかも」といくばくかの期待を寄せていたら、サクサクっと父親の勧めで幼馴染の男性と結婚、そして妊娠。ふつうに幸せそう。しかもあっという間に結納から妊娠までが終了。これには「15分の使い方が下手すぎる」と、アラサー独身OLの心の中に住んでいるテレビプロデューサーから大きなダメだしが入りました。

「たいして物語のない幼少期で1週間もひっぱったのに、女の一大イベントである結婚と妊娠がこんなに雑に描かれるとは。本当に驚きました。しかも10代ですよ。今と時代が違うっていっても、その年代に生きる女性ならではの葛藤ってありますよね」「失恋からどんな思いで立ち直って、幼馴染のどこに愛情を感じて結婚しようという気持ちになったのか。そのあたりで主人公の魅力がわからないと、どうぞ、ご勝手にっていう感じで、彼女の人生を応援する気にはなれないです」などなど、主人公の気持ちをもっとちゃんと見せてよ! 見せないのは“あえて”なの!? その“あえて”はいらないから! と独身アラサーOLの心はもやもや。

主役の芳根京子さんのかわいさは秀逸で、「心が和む」「癒される」と高評価なのに、実にもったいないことです。今後はどう展開していくのでしょうか。ストーリーというよりも、構成的に。朝ドラを見続けている独身アラサーOLのためにも、ぜひとも主人公の葛藤と心の揺れをしつこいくらいにセリフに込めてほしいものです。

葛藤あってこそドラマ。そして独身アラサーもアラフォーも女の生きざまの中の「ドラマ」が見たいのである。

「主人公も周りの人も無言の演技が多すぎて、話が暗い感じがする」「テンポは悪いのに展開は早いっていう謎の15分はかんべんして」。その2では、あずき総研でリサーチした、“朝ドラウオッチャーの独身アラサーOLがこれからの『べっぴんさん』に期待すること”を紹介します。