Ushico / PIXTA(ピクスタ)

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 ビジネスマンならば、社外にしろ社内にしろ、なんらかの研修に参加したことがあるだろう。

 研修会場に入ると数人の受付担当者に出迎えられ、出欠をチェックされ、座席表を渡される。会場へ誘導する担当者もおり、誘導された席に着くと、印刷された名札が机上におかれ、研修資料が整然と並べられている。

 研修が始まるや否や、「携帯はオフ」「PCは閉じろ」「内職禁止」と注意事項が羅列される。気配を感じて後ろを振り向くと、監督者席にはお偉いさんか人事や研修担当が目を光らせている……社内研修でよく見られる光景だ。

 実は、研修ひとつ実施するにしても、研修部門の担当者の準備の苦労は並大抵のものではない。(表1)は、ある企業の研修運営マニュアルの抜粋だが、一部だけでも、これだけある。これに、主担当、副担当、確認者、決裁者が各々につくのだ。

⇒【資料】はコチラ http://hbol.jp/?attachment_id=113502

◆一生懸命準備すればするほど研修効果は低下する

 これでは、研修をやろうと思っても、準備がたいへんで、なかなか出来ないという事態となるのも無理はない。中には、アウトソースして研修の準備や当日の対応を行う企業も出てきているのが実態だ。

 真面目な会社であればあるほど、研修部門が一生懸命準備を徹底する。しかし、実は、一生懸命になればなるほど、準備をすればするほど、研修効果は低下するのだ。このように書くと、違和感を覚える読者が多いに違いない。

 しかし、そうなのだ。私の20年来の研修実施経験をふまえると、準備をすればするほど、研修効果は低下することは、間違いない。

 なぜ低下するのだろうか?

 それは、よかれと思って一生懸命準備したことが、参加者の研修参画モチベーションを次から次へと減殺するからなのだ。

・会場に到着するやいなや、受付で、出欠をチェックされる。
・座席図を渡されて、名札のおいてある、指定席へ向かわされる
・席には一律に水がおいてあり、飲みたければ、水を飲まされる
・研修資料が整然とおいてあり、教材として使わされる
・始まるやいなや、「携帯はオフ」「PCは閉じろ」と従わされる
・監督者席から無言の圧迫を感じさせられる・・・

 これらのことは、ことごとく、参加者にああしろ、こうしろと「させる」ことばかりである。そのことが、知らず知らずのうちに、参加者を受け身にし、「やらされ感」が増してしまい、参加者のモチベーションを低下させるのだ。

◆研修参加者のモチベーション向上がすべて

 研修で能力開発をするのは誰かと言えば、他ならぬ参加者自身である。能力開発することに何か一番影響を与えるかと言えば、20年来、トレーナーとして、能力開発に取り組んで来た経験をふまえれば、参加者自身の、能力を高めたいというモチベーション以外にほかならない。

 言い変えれば、参加者自身が、どれだけ能力を高めたいと思うかどうか、高めたいというモチベーションを高められるかで、能力開発できるかどうか、つまり、研修の効果が決まると言い切れる。

 それを、みすみす、研修運営の仕組み自体が、研修効果を無に帰するような、本末転倒なことが、とても多くの企業で行われているのだ。企業だけではない、研修運営のサポートをするアウトソース会社が、それに輪をかけているという事態が発生しているのだ。では、どうすればよいのかという声が聞こえてきそうだ。私は、真逆のやり方を実施している。

 真逆のやり方とは、こうだ。

 そもそも研修対象者を決めない。研修は、希望者先着順で参加いただく。従って、申込を受け付けるだけなので、あらためての事前の出欠確認は必要ない。座席は、自由席だ。来た者から好きな席に座っていただく。