今年2月に悪化した腰痛が癒え、石川遼がいよいよ米ツアーに復帰する。舞台はマレーシア。CIMBクラシック(10月20日〜23日)である。

「マレーシアもそうですけど、アメリカに行ってもプレーしたことがあるコースばかりですし、(休んでいる間にやってきたことを)いろいろと試すことができる。やることは変わりない。やれる範囲で挑戦していきたい」

 日本オープン(10月13日〜16日/埼玉県)では初日、同い年の松山英樹と、世界ランク6位のアダム・スコットと同組で回った。三者がいずれもスコアを崩し出遅れたものの、会場の狭山ゴルフクラブには平日であるにもかかわらず、1万人のギャラリーが詰めかけた。

「これは選手の力。アダムと英樹のふたりで呼んでくれた。世界レベルの選手が来てくれたおかげで、レベルの高いナショナルオープンになった。そして、その国の世界ランキングトップの選手がナショナルオープンに出ることは、大きな意味があることだと思います」

 フェアウェーが狭く、難しいコースセッティングが敷かれた日本オープンにおいて、石川は優勝ラインを「イーブンパーもしくは1アンダー」と見込んでいた。しかし、終わってみれば優勝のスコアは5アンダー。優勝者は松山だった。

「さすがだな、と思います。国内で活躍して海外に出て、活躍してまた戻ってきて、という形は理想だと思う。もっと海外に挑戦する選手が出てきてほしいと、今回は特に感じましたね」

 国内男子ツアーは、女子より10試合以上も少ない年間26試合(海外ツアーとの共催を含む)で、テレビ視聴率も好調とは言えない。長く危機感が叫ばれているのも事実だ。

「観客数が試合によって少ないとか、視聴率が低いとかいうのは、選手の責任だと思う。だけど、英樹のように海外で活躍して、『その選手のゴルフが見たい』と思っている方は、潜在的にたくさんいるんだなということも、今回強く思いました。そういった意味でも、英樹に続きたい」

 2月のPGAツアー、フェニックスオープンで海外2勝目を挙げた松山に水をあけられているものの、挽回の場面はこれから幾度も訪れるだろう。

 PGAツアーの公傷制度を利用した石川は、2016−2017シーズンは限られた試合数(20試合前後)の中でシード獲得に必要な賞金やフェデックスカップポイントを稼がなくてはならない。PGAツアー生き残りをかけ、過去にない重圧とも戦わなくてはならない。

 それでも、石川に悲壮感はない。公傷制度を利用しての日本ツアーでの実戦復帰後(※)、石川は7月から国内ツアーの5大会に参戦した。8月末のRIZAP KBCオーガスタでは通算14勝目を飾り、フジサンケイクラシック(2位タイ)、ANAオープン(3位)、そして日本オープン(7位タイ)といずれも上位でフィニッシュした。
※公傷制度によってPGAツアーに復帰する前には、その準備として5試合程度、下部のウエブ・ドット・コムツアー、もしくは日本ツアーへの参戦が認められている。

「手応えはある。本当に楽しみ」

 ケガの功名もあった。

「一番は自分の身体と対話できるようになった。自分の身体を思ったとおりに動かせないと、ボールもコントロールできない。ただボールを打つのではなく、いかに身体をコントロールしてボールを動かすか。その重要性を感じました」

 石川は過酷な生き残りの戦いを前に、いつものように、明るく未来を向いた。

柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji