守備を固めたイランを崩せず引き分けた日本。攻撃面でのアイデアを欠くなど、内容には課題が残った。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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[U-19アジア選手権グループリーグ第2戦]U-19イラン 0-0 U-19日本/10月17日/バーレーン
 
 グループリーグ第2戦のイラン戦で、日本は終始主導権を握っていた。パスはCBからボランチを経由しサイドへ、あるいは、SBからサイドハーフ、ボランチへと細かくつなぎながらボールを前に運ぼうと試みる。ここまでは練習通りだが、そのあとが続かない。

【PHOTO U-19アジア選手権 日本0-0イラン】ゴール前で決め手を欠き引き分けに終わる
 
 アタッキングサードに差し掛かると、フィジカルで勝るイラン守備陣の包囲網を避けるように、ボールは再び後方に戻る。日本のパスは、横か後ろに動くばかりで、時折縦パスを入れても、相手の中盤やゴール前でパスカットされていた。
 
 思えば、イエメン戦の前半も似たような光景が繰り広げられた。この時は、初戦の硬さというエクスキューズがあったが、守備を固める相手に日本はまったくと言っていいほど良い形を作れずにハーフタイムを迎えたのだ。
 
 それでも、イエメン戦では、ある程度の手応えは掴んでいた。CBの中山雄太はこう語る。
 
「イエメン戦では前半に自分たちが持ち続けることで、後半に相手の体力が落ちてくるのが分かった。そこは第1戦で得たもの」
 
 つまり、悪いなりにも相手を‶動かせていた″ということだろう。もちろん、相手のレベルを差し引くべきだが、バイタルエリアに侵入する回数は少なくなかった。それがボディーブローのように効き、後半は相手陣内にスペースが生まれると、そこを上手く活用して3得点を奪った。
 
 しかしだからと言って、ワンランク上のイラン相手に事がすんなりと運ぶわけではない。リスクマネジメントを怠り不用意にボールをカットされれば、ダイナミックなカウンターを受ける。その質と迫力たるや、イエメンと比べてもはるかに脅威だった。
 
 もっとも、中山はこう指摘する。
 
「今日のイラン戦は、前半からボールの運び方が悪かった。ただパスを回しているだけだったり、あまりゴールに対して向かってはいなかった。ミドルシュートでも良いし、相手の守りづらい状況をどんどん作っていけたら良かった」
 イランをリスペクトしすぎたとは言わないが、前半からもっとチャレンジしても良かったのは間違いない。後半、スピードを活かした突破が売りの岩崎悠人(京都橘高)を投入してから「相手を動かせる質が出てきた」(内山篤監督)が、前半からそれをしていれば、また違った展開になっただろう。
 
 イラン戦で噴出した課題は、カタールとの第3戦で勝利するためのキーポイントになり得る。是が非でも勝点3が欲しい一戦でこの教訓を活かせた時、U-20ワールドカップ出場権を懸けた準々決勝への道が開けるはずだ。

取材・文:橋本 啓(サッカーダイジェスト編集部)