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ディズニーとの共同制作を行うピクサーは、これまで「トイ・ストーリー」「モンスターズ・インク」「ファインディング・ニモ」といった数多くの人気作品を手がけ、その多くは夢や希望だけでなく、ダークな一面を盛り込んだ大胆なストーリーテリングが知られています。そんなピクサーのアニメーターであるLou Hamou-Lhadj氏とAndrew Coats氏の2人により、サイドプロジェクトとして制作された「ピクサーよりもダーク」な大人向けのショートアニメーションムービー「Borrowed Time」が、期間限定で公開されており、Vimeoで視聴可能です。

Borrowed Time on Vimeo

制作:QUORUM FILMS



曇天の広がる荒野が映し出されました。



崖の上にはぽつんと誰かが立っています。



胸に「SHERIFF」と書かれたバッジを付けていることから、どうやら保安官の模様。



保安官は非常に思い詰めた表情です。



目の前には崖があるだけ。



保安官はしきりにため息をつきながら、昔の記憶を想い返し始めました。



頭の中でよみがえった記憶はまだ保安官が10代のころ。父親と出かけているようですが、やはりため息をついてあまり楽しくなさげ。



すると保安官である父親が懐中時計を取り出し……



息子へ手渡しました。





キャンペーン・ハットもかぶせられ、少年はようやく笑顔に。



すると突如として、馬車に乗っていた保安官親子の後ろから何者かが襲撃してきました。



拳銃を何発も撃ってきており……



銃弾が少年の頭をかすめていきます。



すると父親は馬車の手綱を息子に預け……



「お前ならできる」と勇気づけました。



追走してくる悪漢を相手に奮闘する父親。



少年が手綱を握る馬車は猛スピードで走っていますが……



馬を操りきることができず、岩に車輪が乗り上げてしまいます。



馬車から振り落とされる少年。



それでも必死に馬を止めようとしますが……



馬車は勢いよく転倒してしまいました。



投げ出された父親は崖まで投げ飛ばされ……



そのままあえなく姿を消してしまいます。



馬車は大破。



気がついた少年は父親がいないことに気づき、崖をのぞき込みます。



崖は高く、落下していれば命はありません。



幸いにも父親は落下していたのではなく、岸壁につかまって「手を貸してくれ!」と叫んでいます。



必死に手を伸ばす少年。



どれだけ身を乗り出しても、指の先がかすめるところが限度というきわどい状況。



父親を救うため、少年はありったけの力で父親の手を引きます。



しかし父親が足を滑らせたことで手が届かなくなり、状況は悪化。



そこで父親は肩に背負っていた銃を取り出し……



銃床を息子の手に渡しました。



少年の大健闘により、父親はあと一歩のところまで持ち上げられました。



あと一歩のところで崖をつかむ父親の手が滑ってしまうのですが……



少年は父親の服をつかんでなお引き上げようと努力します。





この時、少年の片手は徐々に引き金の方へ。



嫌な予感を覚える父親。



ついに引き金に指がかかってしまい……



無情にも銃弾が発射。



父親の返り血を浴びた少年は、信じられないような表情。



地面には血まみれの懐中時計が落ちていました。



つまり、少年は自らの手で父親を手にかけてしまったことになります。父親の後を継いで保安官になったようですが、心の重荷が消えることはなく……



苦しい思い出が残る地へやってきて、自ら命を絶つことを考えていたわけです。



「Borrowed Time(与えられた時間)」は、子ども向けの映画を多く手がけるピクサーのアニメーターが作ったとは思えないほど、あまりに衝撃的な大人向けのストーリーとなっています。一方でピクサーのアニメーションは健在で、セリフはほとんどないため、子どもが見ても理解できるはずです。保安官が崖から身を投げてしまうのかどうか、結末はどうなるのかについては、ムービーを最後まで見ればわかります。

なお、制作者の2人がなぜこのムービーを作ったのかを語るメイキングムービーも以下から見ることができます。

“Why We Made Borrowed Time” Featurette on Vimeo