【育児相談】わが子の騒々しさが許せない!顔も見たくない…私ってママ失格?

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育児に悩みは尽きないもの。ママたちの悩みに、子どもの「発達心理」の研究をされている菅原ますみ先生(お茶の水女子大学教授)がアドバイスします。

【相談】

「私はもともと子どもが好きではありませんでした。自分が子どもをもつまでは、子どもの声をうるさく感じ、じっとしていない子どもを見て「親はどうしておとなしくさせないのか」と腹立たしく感じていました。

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いま自分が子どもをもってみると、2才の息子はお世辞にもききわけのいい子とはいえず、外に出れば大声で歌い、じっとすべき場所でウロウロし、機嫌が悪くなると所かまわず座り込んで泣き叫びます。

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そんなとき私は、自分が昔感じた不快感を周囲の人に与えていることが恥ずかしくてたまらなくなるのです。そして、そんな気持ちにさせる息子が許せなくなります。

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そのせいで、その場で叱るだけでなく、家に帰っても厳しい言葉をぶつけたり、他人には言わない言葉で罵倒したりしてしまいます。子どもの顔を見たくなくて、鍵のかかる部屋に逃げ込んだことも。こんな自分をどうすればいいのでしょう」

(2才の子のママ)
少子化社会では母親に向ける視線が厳しい
出産前に、子どもの声をうるさく感じたり、「なぜ母親がちゃんとしつけないのか」と思ったりした経験のある人は少なくありません。私だって覚えがあります。

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現代は少子化社会です。子どもの数が絶対的に少ない社会では、子どもを日常的に見る機会が極端に減ってしまいます。子どもを持たない人にとっては、子どもがどれだけエネルギッシュな生き物か、年齢によって行動がどう変化するのかもわかりません。

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だから、「この年齢ならしょうがないわよ。ママも大変ね」というあたたかな視線を向ける人が減ってしまい、「しつけがなっていない」と厳しい目を向ける人のほうが目立ってしまうのです。自分にも未婚時代にそんな目で親子を見た経験があるからこそ、今度はわが子は厳しくしつけたいと思うのかもしれません。

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でも、2才児は自己主張期まっさかりです。自分の気持ちをようやく言葉で少し主張できるようにはなりましたが、まだまだセルフ・コントロールの力は未発達で、周囲の空気を読んだり、感情をコントロールできる子なんていません。しかりつけても、言い聞かせても、どうしようもないことも少なくありません。
公共の場には「秘密兵器」をたくさんもって
­まず、外出を必要最低限にするために、買い物は生協の宅配や通信販売をできるだけ利用しました。外で買い物するのは夫のいる週末だけにして、夫に子どもを見てもらっているうちに買い物をすませました。

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そうはいっても、公共の乗り物を使わなくちゃいけないこともありますよね。そんなときには「秘密兵器」をいっぱい抱えて乗り込みました。絵本、人形、おもちゃ、万華鏡、普段はあまり与えていないおやつ……、次々に手品師のように物を出して、飽きさせない・騒がせないよう涙ぐましい努力を続けました。

それでもダメで電車を降りることもあったので、十分余裕をもって家を出るように心掛けました。

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そんな努力を続けたのは、子どもを怒らないですむようにするためです。ママが怒ると子どもは泣き、ますます周囲に迷惑がかかるし、大人のどなり声は子どもが騒ぐ声以上に迷惑なものです。そうならないための2〜3才頃の期間限定の対策でした。
厳しくしかられても理解できない年齢です
「しからないのは親の怠慢」と思うかもしれませんが、しつけとは本来、子ども自身がルールを学ぶのを助けるためにする行為です。恐怖を与えて黙らせることでは、子どもにいやな感情や悲しい気持ちだけを残すことになり、学びにはつながらないのです。

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怒りのおさまらないお母さんは、自分の感情がコントロールできず、家に帰ってきてまで「他人には言わない言葉で罵倒」したりしてしまうのですね。2才の子どもの記憶力はとても短いので、おそらくなぜママが怒っているかわからないと思います。それなのにママに罵倒されてしまうわけですから、子どもを深く傷つける行為といわざるをえません。

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「他人には言わない」と自覚できている言葉であれば、わが子にも言ってはいけません。わが子といえど、1人の人間であり、人権があることを忘れないでください。子どもに怒りをぶつけそうになったら、深呼吸してクールダウンするようにどうぞ心がけて。

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いまはとても大変だと思いますが、子どもは必ず成長して「外で歌うのは恥ずかしい」「ウロウロしちゃいけない」と自分から行動を調整できるようになるときがきます。いまの苦しさはいまだけのものと信じて、子どもの成長を信じて待ちたいものです。

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それまで親子で煮詰まってしなわないように、育児支援センターや、保育園・児童館などで悩みを聞いてもらったり、親子遊びプログラムにもぜひ参加してみてください。お子さんへの具体的な接し方をアドバイスしてくれつつ、苦しいあなたの気持ちに寄り添ってくれるスタッフがきっといるはずです。

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取材・文/神 素子

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