北朝鮮当局は最近、国境地帯の住民に対して「家畜の密輸を厳禁する」という命令を出した。密輸が脱北の隠れ蓑になっているという理由によるものと思われる。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

北朝鮮の家畜の密輸は何も新しいことではない。90年代後半の大飢饉「苦難の行軍」のころから、北朝鮮の人々は生きながらえるために、ありとあらゆるものを中国に密輸した。その中の一つが家畜だ。

そのような密輸が最近になってさらに増加している。北朝鮮北東部の国境地帯は台風10号(ライオンロック)により甚大な被害を受け、復旧工事のために多くの兵士や労働者が送り込まれたものの、国は彼らに対する食糧補給を行わないからだ。

両江道(リャンガンド)の情報筋によると、北朝鮮で10キロの子豚は中国人民元で70元(約1100円)で売られているが、中国では700元から1000元(約1万1000円〜1万5500円)。国境の川を越えるだけで値段が10倍以上に跳ね上がるとあって、家畜の密輸はいたるところで行われていた。

また、摘発されたとしても、家畜を没収されるか、それに相当する罰金を取られる程度の軽い処罰で済むのも魅力だった。

そんななかで急に示された厳罰化。情報筋はその背景を次のように説明する。

「家畜をターゲットにしたのは、密輸を防止することが目的ではないようだ。当局は、密輸を口実に中国に行き、そのまま戻って来ず、脱北の隠れ蓑になっていると見て、厳罰化を指示したようだ」

それを裏づけるかのように、北朝鮮から中国への密輸は厳罰化されたが、逆に中国から北朝鮮への密輸については言及がない。

当局は「家畜の密輸は反党反革命行為とみなし、厳罰に処す」としているが、情報筋は「根絶は難しい」と見ている。