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 あなたは「水生類人猿説」という説をご存知だろうか?

 これはヒト科が水中で生活すると体質が変化し水中での生活に一時期適応する、という説でいわゆる「トンデモ」として扱われることも多いが、2016年7月16日放送されたNHKスペシャル「ミラクルボディ」によるとリオオリンピックで活躍したロシアのシンクロチームは水中で酸素が少なくなり肺の機能が低下すると、脾臓が肺に代わり酸素を心臓に送り込む酸素ポンプの役割を担うという不思議現象が一時的に発生していたという。

 上記のように「水生類人猿説」とまではいかないまでも、人間が陸路に上がらず水中だけで生活することは100%不可能ではなく、トレーニングと準備さえすれば水中人間が誕生する可能性もある。もし水中で人間が生活できることが証明できれば地球全体の7割とも伝えられる海の中に移住し新しい国家を作る可能性すらあるのだ(もっとも海の塩分濃度が高いため水を飲まないことが絶対条件になるが…)。

 そんな「水中人間」を造る研究が実は19世紀に行われていたという。

 今回、ご紹介している図版は「Food-Storage Suit」と名付けられたもので、人間の体がすっぽっり収まるボディースーツに空気穴および視界用のゴーグルを装着。首にあたる部分(浮き輪の機能もあると思われる)に食料や水を詰め込み、長期での水中移動および水中生活を行うため研究されたものとされる。

 実用はされたかどうかはわからないが、今見てもこのボディースーツは相当に無理がある。まず水中の移動は歩行以外できず、少しでも深い場所に移動すれば自力で戻ることは不可能。そのうえ万が一倒れた場合は密室状態での窒息死は免れない。視界も一方しか向けないため巨大な岩にぶつかった時点で即ゲームオーバーである。もし故障が生じ海水が内部に入ってきたら…と思うとあまりに怖すぎる。

 この発明は今で言うスキューバダイビングの元祖といえるものでウェットスーツやシュノーケルの始まりと思われ、概念としては正しいものの今の見地から見ると相当に恐ろしい発明と言える。

文:和田大輔 取材:山口敏太郎事務所