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千葉大学は10月17日、原子層物質の一種である二硫化モリブデン(MoS2)に、走査電子顕微鏡で電子線を照射するだけで、半導体として重要なバンドギャップが大きくなる現象を発見したと発表した。

同成果は、千葉大学大学院融合科学研究科ナノサイエンス専攻 青木伸之准教授らの研究グループによるもので、10月6日付けの米国化学会誌「ACS Nano」オンライン版に掲載された。

近年、シリコンに代わってグラフェンやMoS2といった原子層物質による、原子一層で作られたトランジスタが注目されている。一方、従来の材料ではバンドギャップの値は物質ごとに決まっており、変えることができないと考えられていた。

今回、同研究グループは、一層の単結晶MoS2でできた電界効果トランジスタを作製し、走査ゲート顕微法でトランジスタ上を観察したところ、片方の電極の近くのMoS2結晶内に連続した線状の応答を観測した。これはトランジスタとしての動作がその線の位置で強く生じていることを示しているものであるため、この原因について調べたところ、MoS2結晶に電極を取り付ける工程で使用している電子線リソグラフィによって生じていることがわかった。

さらに、フォトルミネッセンスを用いて観察したところ、電子線を照射した部分では、照射していない部分に比べてバンドギャップが最大で45meV大きくなっていることがわかった。また、計算機シミュレーションを実施した結果、このバンドギャップの変化は、電子線を照射した部分においてMoS2結晶の原子間隔が縮んでいることによることが明らかになった。

同研究グループは今回の成果について、原子一層からなるさまざまなエレクトロニクスが実現できる可能性に繋がるものであるとしている。

(周藤瞳美)