「動物とのふれあい」のあり方につて旅行業界も見直すべき。こんな決断が「トリップアドバイザー」からもたらされました。内容は、野生動物たちに悪影響を及ぼすような体験ツアーは今後発売しない方針、というもの。

観光客の好奇心よりも
環境保護が最優先

世界最大の旅行口コミサイトである同社のサイトポリシーに新たな方針が追加されました。以下は、2016年10月11日に発表された声明からの抜粋。

トリップアドバイザー(および傘下にあるビアター)は、絶滅危惧種に指定されている動物たちとのふれ合いをアクティビティにしたツアーを直ちに販売中止いたします。また、2017年までに、予約方針も完全に改訂していくことを発表します。

これまで、観光客の知的好奇心やアクティビティとしての付加価値を優先し、絶滅の危機にある野生動物たちの保全やケアがないがしろにされてきた。こうしたことが、結果的に多くの動物たちにストレスを与えているという事実を省みての、思い切った方針転換。

このニュースは同日の内に旅行業界だけでなく、広く一般にも知れわたるところとなりました。

ゾウに乗る、イルカと泳ぐなど
物理的接触はすべて中止に

現段階で、企画中止が決定しているものがこちら。これまで人気の高かった、ゾウの背中に試乗したり、イルカと一緒に泳いだり、ペットのように飼いならされたトラやライオンをなでるツアーなど。つまり、観光客が物理的に保護対象動物に接触するものはすべて中止。

ただし、除外対象となるものも。
たとえば、動物園でのウサギとのふれあいや、乗馬など、家畜・飼育動物との交流。また、水族館など専門の飼育員によって保護、教育目的のために飼育されている生き物とのふれあいも、これまで通りツアーとして残していく方針だそう。

「動物福祉」も、旅行業界の
グローバルスタンダードに

業界最大手のこの決断は、旅行業界全体にとってスタンダードとなるのに時間はかからないのではないか、そんな見方が大半です。

なかでも「National Geographic」は、これまでにも人間の探究心による動物とのふれあいが原因となり、動物たちが心的ストレスやトラウマを抱えていること、また観光のための乱獲を招いている事実を訴える、イギリス動物愛護団体の主張を再三にわたって紹介。世論のなかにも「ふれあい体験ツアー」に疑問を持つ人も少なくなかったはず。

こうした声に対し、トリップアドバイザーCEOのStephen Kaufer氏は声明のなかで、この新方針には「野生動物たちの健康と保護が最大の使命である」と宣言。同時に保護活動に尽力する団体に対する敬意を示しました。

人間と同じように、動物も精神的・肉体的に健康で、環境と調和できて、充足感を得られなければいけない。近年、こうした動物の心理学的幸福を尊重しようという「動物福祉」という考え方も登場しています。

人間の知的好奇心を満たす目的のために、動物が犠牲になるという現実を前に、トリップアドバイザーが投じた一石が、今後どんな意味をもたらすか。注目です。

 

Reference:National Geographic
Licensed material used with permission by トリップアドバイザー