富永ペインクリニック院長・富永喜代氏

写真拡大

「血尿が混じった石が出るまで一晩、涙を流しながら耐えた。途中で気を失うかと思ったほど。医師が『出産と同列の痛みを感じる人もいる』と言うのも納得です」と語るのは、人生で二度も尿管結石に見舞われたという矢島浩一さん(仮名・41歳)。

 尿路結石の激烈な痛みは武勇伝として耳にすることも多いが、それを超えるほど痛い病気も存在するという。

 痛みの緩和を目的とした医療機関・富永ペインクリニック院長の富永喜代氏に聞いた。

「厄介なことに、痛みというのは主観なので、同じ病気でも感じ方は人によって変わります。そこで痛みを客観評価するために使うのが、VASという0から10までの痛みスケールです。7〜10なら相当に強いレベルで、特に10は『もう死んでしまいそうなほどの痛み』と捉えられます」

 その痛みスケールMAXの病気として挙がったのは「群発頭痛」。聞き慣れない病名だが、死にたくなるほどの凄まじい痛みで「自殺頭痛」と呼ばれるほどだ。

「頭痛と聞くと侮る人が多いのですが、群発頭痛は片頭痛とは痛みの質がまったく違います。突如ハンマーで殴られたような激烈な痛みが襲い、大人がのたうち回り、身をよじる。暴れまわった末に部屋の壁を殴りつけ、大きな穴を開けてしまう例も」(富永氏)

 これが1〜2か月もの間、毎日深夜1〜2時に襲ってくるというから怖ろしい。周囲の「頭痛ごときで」という無理解から孤独に陥り、メンタル的に参ってしまう方も少なくない。発症傾向は男性3:女性1というのも憂鬱な点だ。

 3位の帯状疱疹も危険。経験者の砂川保さん(仮名・43歳)が罹患したのは、転職直後だった。

「新しい上司とソリが合わず、無意味な残業を長時間強いられる生活が続いた。すると眉から髪の毛の生え際に湿疹ができて、1日中ピリピリ痛む。病院に行ったら即入院させられました」

 富永氏が解説する。

「ウイルスが神経を攻撃することで痛みを生じます。治療が遅れると、神経のダメージを回復できず、一生痛みを伴う場合もある。瞬間的な痛みはそれほどでなくても、不快な状態が長期に渡って続くのはQOLを著しく下げる」

◆七転八倒する激痛を伴う痛すぎる病気ワースト5◆

1位 群発頭痛
強すぎる痛みに耐えかね、自殺を選ぶ人も。対処法は予防薬を飲み、痛みが来てから薬を投与するのみ。頭痛外来やペインクリニックに即相談だ

2位 尿路結石
「刺すような鋭い痛み」の原因は、結石のギザギザではない。尿路系に発生した結石が排尿を阻害し、内圧が高まることで生じる激痛

3位 帯状疱疹
服が触れただけでビリビリと痛みが走る。狭心症や糖尿病、がんなど重大な病気が隠れている場合もあるので侮れない兆候だ

4位 坐骨神経痛
いわゆる腰肢痛。中年男性が悩む病気の1位(厚生労働省調べ)。ストレスなどにも反応し慢性化するため、常につきまとう鈍痛が厄介

5位 心筋梗塞
「胸を握りつぶされるような痛み」を生じると言われる。前兆として、左肩や二の腕の内側などの箇所が痛む関連痛があることも

 目に見えないものの、痛みは人を追い詰めるだけの負のパワーをはらんでいる。週刊SPA!10月25日号では「ヤバい病気ワーストランキング」を公表している。痛み、突然死、がん、難病、お金がかかる、など健康の大切さを痛感させられる内容だ。〈取材・文/週刊SPA!編集部〉

【富永ペインクリニック院長・富永喜代氏】
医学博士。さまざまな痛みを緩和する専門医療機関・ペインクリニックを松山市にて開業している。著作に『マンガでわかる腰痛改善セラピー』(宝島社)