犬の老化と向き合う

長年いっしょに暮らしてきた愛犬が、若い頃とは少しずつ色んなことが変わってくる。ちょっと切ないけれど、ともに時間を重ねた愛しさはまた格別です。そんな大切な愛犬だからこそ、老化のサインをきちんと受け取って、しっかりケアすることで、心地よく犬生を送って欲しいものです。犬の老化について、しっかり考えてみたいと思います。

犬の老化とは

犬の年齢の1年は人間の年齢の7年に当たるという説を耳にしたことがある人も多いかと思います。しかし実際には犬の年齢を人間に換算するのはもう少し複雑です。

犬は最初の1年で人間の15歳程度に当たる成長をしますし、犬のサイズによって老化のスピードは変わってきます。詳しくは下記の「サイズ別犬年齢換算チャート」を参照ください。

一般的には、7歳を過ぎた頃からシニア犬の仲間入りとよく言われます。実際にはそのくらいの年齢なら、まだまだ若い時と変わらないように見える犬も多いものですが、人間も中年になると軽い不調が出始めるのと同様に、愛犬の体調管理にちょっと余分の心配りを始めるのが良い年齢と言えるでしょう。

犬の老化のサインは必ずしも病気のサインとイコールではありません。むしろ老化のサインを自然なこととして飼い主さんが受け入れ、その上で少しずつ対応を変化させたり、注意していくことで、愛犬はメンタル的にも身体的にも落ち着いて快適なシニア期を迎えることができます。

愛犬の老化判定チェックリスト

具体的に、どんなことが犬の老化のサインなのか、それについて気をつけるポイントをリストにしてみました。

マズルや顔の他の部分に白い毛が出始めた

一番最初にわかりやすく出て来る老化のサインです。白い部分の増えたシニア犬の顔は穏やかで、子犬とは違う愛らしさのあるものです。

コートが薄くなって、爪がもろくなってきた

コート(犬の体の全体を覆っている被毛)が薄くなると体温調節機能も落ちますので、必要に応じて毛布をかけたり衣服を着せるなど工夫してあげましょう。爪も若い頃よりもこまめにチェックして、爪切りが負担になるなら爪やすりを使うなど工夫します。サプリメントなどで改善する場合もあります。

食べ物の好き嫌いが増え、少食になってきた

人間と同じように、犬も年を取ると食の嗜好が変わったり、あまりたくさん食べられなくなったりするのは普通のことです。若い頃と同じものを同じだけ食べさせていると、老化によって基礎代謝が落ち運動量も少なくなったシニア犬は肥満の可能性が高くなります。

肥満は内臓系の病気だけでなく、関節にも負担を与えるシニア犬の大敵。フードをシニア用に変える、適切な量を加減するなど、若い頃とは違う対応をしてあげましょう。

トイレの回数が増えた

犬は年を取って来ると長い間オシッコを我慢することが難しくなってきます。外に出す回数を増やす、トイレシートをまめに交換するなど、気をつけてあげましょう。色の薄いオシッコが大量に出るようになった場合は腎臓の病気も考えられます。早期に病院でチェックしてもらいましょう。

歯の汚れが目立つようになってきた

犬は若い頃から歯磨きをしていても、汚れが蓄積してくることもあります。歯のケアを積極的にしていなかった場合にはなおさらのこと。歯周病になると、食べにくかったり不快なだけでなく、歯垢や歯石のばい菌から内臓や血液にも悪い影響を与えます。獣医さんに相談して歯のクリーニングを検討してみましょう。

散歩や運動に消極的になってきた

犬も年齢とともに筋肉量が減ったり骨密度が低下したりして、歩く速度も持久力も衰えてきます。様子を見ながら、散歩のスピードを落としたり距離を調節したり、段差や階段もできるだけ避けるようにしましょう。

ですが、愛犬が自力で歩けるうちは過保護にならないことも大切です。体力に応じた運動をすることで筋肉や骨を健康に保ちます。若い頃とは違う形の無理のない運動を続けることが健康と長生きの秘訣です。

起き上がったり座ったりする時の動きがぎこちなくなってきた

犬の関節がこわばっているような、ぎこちない動きが目についてきたら関節炎のサイン。動きにくいだけでなく痛みも伴うので、早めに病院で診察してもらいましょう。お薬やサプリメントで痛みを和らげ、進行を遅くすることができます。

名前を呼ばれたり、物音がしても反応が薄くなってきた

犬が老化によって耳が遠くなってきたサインです。名前を呼んでも反応してくれなくなったのは寂しいことですが、外からの刺激に過剰に反応する必要がなくなるのはシニア犬にとっては心の安らぎでもあります。悲観的に捉えるばかりでなく、ポジティブに受け入れることも愛犬の心の健康のためにだいじなことです。

瞳が曇ったり、白っぽくなってきた

犬の瞳が曇って来るのは自然な老化のサインで視力には影響しません。しかし瞳が白くなってくるのは白内障の可能性があり、こちらは視力が低下してきます。病院で診察を受けることが一番です。

もし、すでに老化によって視力が低下してしまったという場合は、部屋の中の障害物を片付ける、段差のあるところにスロープを作るなどバリアフリーを心がけます。また視力の低下した犬にとってヒゲは大切な感覚器官になります。切らないようにしてあげてください。

夜鳴き、グルグル徘徊、昼夜逆転が見られるようになってきた

老化がきっかけとなって認知症が始まった可能性があります。残念ながら現在では決め手になる治療方法はありませんが、工夫次第で犬も人も安全で快適に過ごすことは可能です。

早めに獣医さんに相談しましょう。若いうちから嗅覚を使った宝探しゲームや、散歩コースに変化を持たせるなど脳に刺激を与えることは認知症予防にとても大切です。またフィッシュオイルなどのサプリメントも予防に効果があると言われています。

まとめ

愛犬の老化のサイン、普段からよく観察していれば早めに気がつき、早めに対処していくことができます。
気がつかなかったり、適切な対応をせずにいると犬に大きな不便や苦痛を味わわせることになってしまいますので、老化対策は飼い主の腕の見せどころです。

けれど一方で、老化を否定し過ぎたり悲観的になり過ぎるのもよくありません。愛犬はあなたの気持ちにとても敏感です。飼い主さんが悲しい気持ちだったり落ち込んでいては犬も幸せではありません。老化という自然現象を素直に受け止め、その上で注意と工夫を重ねて愛犬の健康なシニアライフをサポートしてあげたいものです。