『ふせんの技100』(舘神龍彦/函劼┐ぁ喀佝納辧

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 本のしおりに、ノートの見出しに、デスクメモに、と大活躍の「ふせん」。最近では、かわいいイラスト入りのものや、花や葉、富士山の形といった変形バージョンも見かけるようになった。その誕生は、米国の化学メーカーが、強力な接着剤を開発しようとする過程で、図らずも生んでしまった弱い弱い接着剤がきっかけだ。これを失敗作として処分せずに、その弱さを生かして製品化したのが、剥がせる糊付きのメモ、「ふせん」だ。1981年から日本を含め世界中で販売されている。

『ふせんの技100』(舘神龍彦/耷〈えい〉出版社)は、人呼んで「ふせん大王」舘神龍彦氏が、ふつうの「ふせん」の活用技から、一風変わった活用技まで紹介した本。書名のとおり、100種の技が載っており、すべての技に「まじめ―おもしろ」(面白い度)、「自分で―みんなで」(孤独度)、「貼るだけ―書き込む」(文字を書く度)に関して、それぞれ5段階評価が付いている。この中から、基本中のキホンの「ふせん」、要は会社の備品にありそうな「ふせん」を使った技で、すぐに使えそうな3つを試してみた。

■デジタル断食をする(面白い度0、孤独度5、文字を書く度3)

 まずは、簡単にできるものを。「デジタル断食をする」だ。“ふと気づくといつもスマートホンを見ている”“ついスマホを手にしてしまう”という方に特にお勧めの技だ。それは、スマホの画面に同じ大きさの「ふせん」を貼ること。これだけ、簡単だ。確かに、画面がいじれない。特に断食の必要性を感じていない方でも、“この2時間は絶対集中したい”という時に使える。決めた時間、あるいは作業が終わるまで、なかば強引にスマホを見られないようにするのだから、作業を中断させる誘惑が1つなくなる。また、貼り付けた「ふせん」の上に、ペンで時刻を書いてから断食を始めれば、どのくらい自分がスマホと離れていられるか、依存度を計ることもできる。


 次は、知的にビジネスで使える技を。「タスクを洗い出す」と「優先順位をつける」を続けて2つをやってみよう。

■タスクを洗い出す(面白い度0、孤独度5、文字を書く度5)

 まずは「タスクを洗い出す」、つまりはやることリストを作るのだ。使用するのは、75×25ミリの「ふせん」。よく3束1組で売られている、パソコンのマウス縦半分ほどの大きさのものだ。そこに、やらなきゃいけないこと、やりたいことを、「ふせん」1枚に1つずつ書き出して、レポート用紙に貼っていく。「ふせん」はケチらず潔く使うのがコツだ。


■優先順位をつける(面白い度0、孤独度5、文字を書く度5)

タスクが出揃ったところで、「優先順位をつける」だ。先ほど貼った「ふせん」を、優先順位の高い項目から順に並べ直していく、これだけだ。その際、グループ分けもしておくと便利だ。例えば、プロジェクトごとに色マーカーで囲ったり、上位タスクを書いた「ふせん」だけ先頭をずらしたりするのだ。そして、「ふせん」に書かれた仕事が終わるたびに、その「ふせん」を剥がしていくと、いつでも最優先事項が上にくることになる。優先順位が常にクリアになるので、気持ちにゆとりをもって仕事に臨めそうだ。


 生活改善から、ビジネスまで、毎日大活躍のアイテム、「ふせん」。文具店はもちろん、コンビニ、100均でも手に入り、手軽な値段で楽しめるのも、我らの味方のゆえん。それに、用途がこれほど限定されていないあいまいなツールは、他になかなかないだろう。じつは、そこがおもしろいところで、著者は「ふせん」を次のように定義する。「シンプルなツールの、可能性と奥行きの証明」と。この本に紹介されている技以外にも、あなただけの、有益、またはくすっと笑ってしまう技を生み出してみては? 「ふせん」、「書くべし、はがすべし、そして貼るべし」。そして、使い倒すべし。

文=奥みんす