あの日、あの時、あの場所で…。そんな記憶を思い返すとき、ふわっと香る「匂い」も蘇ってきませんか?

そんな「匂い」を保存する研究をしている人がいるんです。それが英・ロンドン大学の博士課程に在籍している、Cecilia Bembibreさんです。

「嗅覚」はほとんど
記録されていない

人間の五感のうち、視覚は写真として、聴覚は録音として、かなり正確に記録することができます。触覚は触れられる物体自体が長期的に保存できることが多いですし、味覚はやや難しいですが、レシピなどの形で間接的に伝えていくことはできます。

しかし、匂いだけは、まだ記録という形が進んでいないのが現状です。そこに注目したのが、Bembibreさんというわけです。

文化的に重要な場所の
匂いを後世に伝える

「Atlas Obscura」の記事によれば、Bembibreさんは現在、イギリスにあるふたつの歴史的な場所の匂いを保存する活動をしているそうです。彼女が選んだのは、15世紀から代々同じ家族が住んでいて、その景観がほとんど変わっていないと言われる「ノール・ハウス」。それからこちらも長い歴史を持つ「聖ポール大聖堂」の図書館です。

Bembibreさん曰く「素晴らしい図書館で、とっても素敵な匂いがするんです」とのこと。

とはいえ、匂いの好みで選んだわけではなく、文化的に重要で、かつ特徴的な匂いがする場所を選んでいるそう。確かに家族によってそれぞれの匂いってありますし、図書館の匂いも独特ですよね。

匂いは、記憶や感情との繋がりが強いので、後世に残すことでより歴史的なものとの繋がりを感じられるようになるかもしれません。

古い本の匂いは
どんな成分?

Bembibreさんは、化学的に匂いがどのような成分でできているのかを分析して記録することで、匂いを保存していると言います。

たとえば、古い本の匂いは、酢酸(すっぱい匂い)、ベンズアルデヒド(アーモンドの匂い)、バニリン(バニラの匂い)、ヘキサノール(草の匂い)などからできているそう。この比率を記録しておくことで、古い本の匂いが嗅ぎたくなったらいつでも再現できるのだとか。

写真や録音と同じように
「匂い」が保存できる
未来が来るかも

かつて写真がなかった時代は、風景を保存するためには絵を描かなくてはなりませんでしたし、録音がない頃はそもそも音を保存しておくことは困難でした。それが今や、どちらもスマホで楽々保存できてしまいます。

今後この研究が進めば、写真や録音と同じように、匂いも自由に保存できる時代が来るかもしれませんね。

Licensed material used with permission by Atlas Obscura