血圧は正しく測りたい

写真拡大

健康志向の広がりで、小さくて持ち運びに便利な手首で測るタイプの血圧計が人気を集めている。しかし、以前から「数値にバラツキがある」「実際の数値より高い数値が出るのでは?」といった疑問が出されていた。

イタリアのパドヴァ大学の研究グループが、医師らが上腕で測る機器と手首式機器との間で血圧の数値を比較した結果、手首式はかなり誤差が大きく、正しく使わないと正確な血圧を測りにくいことが改めて確認された。

自宅や職場、出張先でも測れる優れものだが

手首式血圧計は、腕時計のように手首にはめ、デジタル機器が血圧を表示する。軽くて持ち運べるため、自宅や職場、出張先でもチェックできる。価格も約2000〜5000円台と手ごろだ。一般に、手首を心臓の高さに上げて測るのが正しい計測法だ。

今回の研究は、国際高血圧専門誌「Hypertension」(電子版)の2016年8月22日号に発表された。論文によると、研究グループは一般から集めた721人の男女に、まず上腕式血圧計と手首式血圧計の両方の正しい使い方を指導した。そして、自宅と診察室で、それぞれ両方の血圧計を使い、自己測定してもらった。また、診察室では医師が上腕式血圧計を使い、参加者の血圧を正しく測定し、比較のデータにした。

その結果、次のことがわかった。

(1)自宅で参加者が自己測定すると、手首式の方が上腕式より血圧が高く出る人が多かった。平均すると、血圧の上の数値(収縮期血圧)が5.6%、下の数値(拡張期血圧)が5.4%高かった。また、上腕式と手首式の数値の誤差が5ミリメートルHg以上ある人は721人中621人(86.1%)いた。特に10ミリメートルHg以上も誤差がある人は455人(63.1%)いたが、この人々は、まったく正しく測定できていないことになるという。

(2)ところが、診察室で自己測定すると、逆に手首式の方が上腕式より血圧が低く出る人が多かった。上の数値(収縮期血圧)を例にとると、平均で2.5%低かった。これは、統計学上それほど意味のない差だという。診察室で医師らが見ている前で自己測定すると、比較的正しく測定できることを示している。

手首の位置が「心臓と同じ高さ」がコツ

この結果から、研究チームは「手首式の血圧計を自宅で使うと、間違った測定結果を出す人が非常に多いことがわかりました。実際より高い数値が出てしまう傾向があります。これは、手首式の血圧計の使い方をしっかり理解しないことによるもので、指導を徹底させる必要があります」とコメントしている。

二の腕にベルトを巻いて測る上腕式は、二の腕の位置が固定される。しかし、手首式は手首の位置が心臓より高いか低いか、あるいは、遠いか近いかなどで微妙に計測値が違ってくる。手軽な分、正しい使い方が難しいようだ。

手首式血圧計を発売している電子機器メーカーのオムロンは、ウェブサイト「(手首式血圧計の)よくあるご質問」の中でこう説明している(要約抜粋)。

「質問:手首式は正確ではないのか、上腕との差が出るのか?
回答:両者が測定した値を比較した際、差が生じることがございますが、測定部位による血管の太さや硬さの差があるためで、『どちらかが誤っている』ということではございません。
また、手首式血圧計は、測定時の機器の位置(腕の高さ)により、値が変動します。測定の際は『本体が心臓と同じ高さ』になるように合わせ、測定をお願い致します。本体が心臓より低い位置で測定した場合は値が高く、心臓より高い位置で測定した場合は値が低く出る傾向がございます」

そして、使用方法の動画をアップし、ぜひ見てほしいと呼びかけている。