WEEKLY TOUR REPORT
■米ツアー・トピックス

 PGAツアー2016−2017シーズン開幕戦のセーフウェイ・オープン(10月13日〜16日/カリフォルニア州・シルベラードR&S)で、1年2カ月ぶりとなるツアー復帰を予定していたタイガー・ウッズ(40歳/アメリカ)が、同大会の欠場を決めた。正式にエントリーしたのが、10月7日。それからわずか3日後の、突然の決定だった。

 実は、大会開幕を3日後に控えた10月10日の月曜日の朝、ウッズが棄権するかもしれない、という噂が流れた。ウッズの復帰で、大会のチケットは昨年の倍は売れていて、開幕に向けて大いに盛り上がっていたゆえ、その噂は大会前の熱気に水を差すものだった。

 新聞やテレビなどのメディアは、すぐに真相を確認しようと奔走した。そうした状況の中で、ウッズは自身のホームページ(以下、HP)で、今週のセーフウェイ・オープンと、来月に参加を予定していた欧州ツアーのトルコ航空オープン(11月3日〜6日/トルコ・レグナムカーヤG)にも出場しないことを発表した。

 理由は、「体の状態はとてもいい。だけど、ゲームの内容は"もろくて壊れやすい"状態で、まだ世界のベストプレーヤーと戦える準備はできていない」というものだった。

「もろくて壊れやすい」という言葉を使ったウッズ。これは、さっきまではよかったと思ったのに、すぐに悪くなってしまう、そんな"不安定な状況"と理解すればいいのだろうか。ウッズ自身の口からは、どのショットがどうしっくりこないのか、などといった具体的な言葉は出てこなかった。

 それでも、ウッズが自ら苦しんでいることを隠さず、その現状を伝えているのは珍しいケースだ。

 はたして、ウッズのゴルフはどんな状態なのだろうか? それは、ゴルフ界の関係者も、メディアも、ファンも、最も気になるところだ。

 過去にも何度か戦列を離れているウッズ。直近の、復帰した際はどうだったのか、少し振り返ってみたい。

 昨年2月、ウェイスト・マネージメント・フェニックス・オープンの際は、約半年ぶりのツアー復帰だった。当時、ウッズの身に起こったのは、『アプローチイップス』だった。

 チップショットでは、明らかにおかしな動きを見せて、グリーンをオーバーしてしまうことが何度もあった。結局、予選落ちに終わると、翌週のファーマーズ・インシュランス・オープンでは初日に途中棄権した。このときのウッズのプレーは、過去の彼のプレーを知っている者としては、目を覆いたくなるほど酷いものだった。

「一度、イップスにかかった選手の完全復活はない。特にハイレベルな選手ほど、復活するのは難しい」

 かつて、ブランデル・シャンブリー(『ゴルフチャンネル』の解説者。元ツアープロ)が話していた言葉を思い出した......。

 ウッズはその途中棄権から、今度は2カ月後のマスターズで復帰を果たした。その際は、4日間プレーして、17位タイで大会を終えた。

 その後も、本来の力を発揮するまでには至らず、低調な成績が続いて、プレーオフに駒を進めることはできなかった。それでも、レギュラーツアー最終戦のウィンダム選手権では、10位タイでフィニッシュ。2日目に首位に立つなど、復調の兆しは見せていた。

 ところがその直後、再び腰の手術を受けて戦線離脱。以来、公にウッズがプレーする姿は見られていない。今年6月に、彼がホストを務めるクイッケン・ローンズ・ナショナルのメディアデーで、彼のショットを目にする機会があった。

 100ヤード強の池越えのパー3で3回だけボールを打った。だが、一度も池を越えることができなかった。正直、その力のないスイングを見て、周囲は愕然とした。そして、「ウッズ限界説」まで囁かれた。

 それからおよそ3カ月が経って、いよいよツアー復帰が発表されると、どこまでショットが復調しているのか、そこに大きな注目が集まった。あらゆるメディアが情報収集を重ねるなか、フロリダ州のウッズの自宅近くでよく練習ラウンドをするというイエスパー・パーネビック(51歳/スウェーデン)からは、ポジティブな証言が発せられた。

「ウッズのショットは、これまで我々が知っているものと同じ。素晴らしい球を打っていた」

 そうした声に反応してか、以降はウッズの完全復活を願う声が日に日に大きくなっていった。セーフウェイ・オープンのホストを務めるテレビ解説者のジョニー・ミラーは、自身もパッティングイップスに陥った結果、ツアーから引退した経験を持つが、ウッズの復帰を待望し、エールを送った。

「ウッズには、このままツアーから去ってほしくない。もし体の状態が悪くないのなら、あとはメンタルな部分だけだと思う。今の状態で終わることなく、『子どもたちの前で勝つ』。そう思って、プレーを続けてほしい」

 ウッズのゴルフの状態を知るのは、彼のみである。もちろん、試合で戦えるか否かを決められるのも、彼自身だけだ。

"もろくて壊れやすい"=不安定な状態な分、復調を見極めるのは難しいかもしれないが、ウッズはHP上で「必ずツアーに復帰する。諦めない」と記していた。そこには、どんな醜態を見せても必ず復帰するんだ、というウッズの強い意志を感じる。

 彼が次にツアー復帰を目指す大会は、自身がホスト役を務めるヒーロー・ワールドチャレンジ(12月1日〜4日/バハマ・アルバニー・チャンピオンシップC)。今回の欠場が功を奏するのか、ウッズの動向から目が離せない。

text by Reiko Takekawa/PGA TOUR JAPAN