保育園・きょうだい別園から同園に至る顛末と同園のメリット

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毎年秋になると、次年度4月入園の話が聞こえはじめる保活界隈である。
東京では、早いところで9月には翌年4月入園の受付がスタートしているからなのだが、筆者の居住区などは締め切りが設定されているだけで、言ってみれば年中受付しているので、この時期そんなに焦った声は聞こえてこない。

自治体でルールが大きく異なるのも、保活とよばれるものを激化させている要因のような気もしている。

さて、筆者宅に次男が誕生して1年半。そのうちの1年4ヵ月は別々の保育園で過ごしてきた我が息子たちであったが、9月から同じ保育園に通えることになった。


決まる時というのは本当に急である。

2月末生まれのため、0歳児クラスには5月に入園した次男。約1年間を片道45分かかる距離の保育園で過ごし、抱っこ紐登園だったので親は次々と腰痛で倒れた。

そして今年4月に転園申請が通ったものの、あいにく兄弟同園にはポイントが足らず、至近距離に建つ別々の園でその後の半年を過ごしていた。

長男は現在5歳児クラスのため、次男の転園に際し、きょうだい加点が使えるのは今年度が最後となる。

「もう諦めてここに腰を据えようか」

そう構えはじめた矢先だった。

■兄弟が同じ保育園になれないこともある?“ポイント1”を巡る争い


長男の園には次男が生まれた頃からしょっちゅう出入りしていたので存在を知られていたが、次男の園に長男が立ち入るのは夜間のみだったため、多くの同級生は、次男に兄がいることを知らなかった。

先日、近所のお祭りで次男の元クラスメート一家に再会した。
「急に転園しちゃったからどうしたのかと思って」
「ああ……そうなんですよ、お兄ちゃんと同じ園に」
「……え? 兄弟いるのに? 今までおんなじ保育園入れなかったんですか?!」
目の前の夫婦が軽くパニックになりかけているのを察知した。

説明しよう、これには理由がある。

認可保育園というのは多くの自治体でポイント制となっていることだろう。
筆者の居住区だと、1人あたり常勤8時間×20日で20点満点。夫婦だと合わせて40点が満点。シングルの場合は配偶者不存在で20点加算されるので同じ点数になる。

これに、各家庭の事情に合わせてポイントが足されたり引かれたりするのだが、俗にいう“きょうだい加点”(在園児の兄弟姉妹が新規入園する場合のポイント)というのがあり、筆者の区だと3点上乗せになる。これで43点だ。

ちなみに、長男の通う保育園の1歳児クラスのボーダー(足切り)ラインは42だったことがわかった。

「40点にきょうだい加点3で、43点じゃないの?」

それは新規入園の場合であり、次男のようにすでにどこかの認可園に通っている場合、きょうだい同園になるための認可から認可への転園は、1点しか加算されない。

筆者は夜遅くまでの仕事なので、夜間保育の利用実績も継続してあるし、加点がさらに2点つくと思い込んでいたのだが、「月に何日利用」というルールが実はあったようで、微妙に日数が足りず、4月の選考からは漏れてしまった。

保活をしている最中、この「公開していないけど聞いたら教えてくれる程度のルール」につまずくことがたくさんあった。日数や金額、数字にまつわるところは、とにかく保育課で話を聞いたほうが後悔も少ないとは思うのだ。

■何度経験しても親がつらい気持ちになる「転園」


8月の中旬過ぎ、夫の電話がなった。
保育課から、9月入園の選考に入るという連絡だった。
追加書類を大急ぎで提出し、決定が21日、25日にはもう面談と健診を終え、1日からは兄弟そろって登園する環境になった。

この間約10日。
しかも、運動会を控えて準備に入っていた時期である。

「なんか、すみません……」

喜ばしいはずのきょうだい同園だったが、お世話になった先生たちに申し訳ない気分が勝ってしまった。

この園が別に嫌だったわけでもなく、トラブルもなく、物理的な理由で兄弟は同じ園にいてほしいなあという親の都合だったわけで。

「ううん、いいんですよ。半年だってお兄ちゃんと一緒にいたほうがいいに決まってるし」

たしかに、家族で誰よりもその知らせを喜んだのが長男であった。

「同級生の弟や妹たちはみんな同じ保育園なのに、別々の園に行ってる子なんてひとりもいないのに、どうしてうちだけ?」

きっとそのような気持ちがあったのだろう。

長男自身も0歳から1歳のタイミングで、時間の早い園から遅い園への転園経験があるが、その時も「なんだか親のエゴでごめんなさい」という気分がやはりあった。しかし、各家庭には事情というものがあり、ミスマッチが続くとお互いストレスになるだけなのだ。

次男の0歳から1歳にあがるタイミングでの転園は、さすがに距離のことも含め、場にいた全員が「ですよね〜」というリアクションだったのだが、今回は年度途中ということと、腰を落ち着けようかと心を決めたばかりというのもあり、嬉しいけど悲しい、複雑な感情を引きずった。

次男は盛大にお別れ会をしてもらったようで、かわいい写真付きのカードを持って返ってきた。こちらからもお礼のお手紙を渡して、最終日はバタバタと過ぎていったのだ。

1歳1ヵ月から6ヵ月。
ハイハイから伝い歩きをし、いっちょまえにテクテク歩けるようになる時期を共に見守っていただいたことに感謝しつつ。

■兄弟同園から1ヵ月でわかってきたメリット


兄弟が別々の保育園に行っているのがデフォルトだったこの1年半ちかく。これまでは兄弟別園のメリットもデメリットも享受してきたわけで、急に子どもたちが同じ園に通うとなると、これまでのルーティンで回せないことが出てきた。

例えばこうだ。

●実母に子ども二人のお迎えを頼めない
→これまで週3日で来てもらっていたのだが、けっして若いわけでも健康でもない母に元気な乳幼児二人任せるのはちょっと気が引ける。

●兄弟の片方だけ休みというのができるのかどうか
→別園なので、兄弟の片方だけつれて用事を済ますこともできたのだが、今後どうなるのだろう。

●片方が呼びだされたとき
→兄弟どちらか発熱→二人連れて帰る→元気な方が力を持て余す→接触時間が増える→兄弟間で感染→私何日休めばいいの!……という展開にならないか?


しかし、これらの心配は結果からいうと杞憂に終わった。
意外な解決を見せたからだ。

●実母に子ども二人のお迎えを頼めない
→実父がお迎えに参加することで二人連れて帰れるように。
退職を機に父が“育ジイ”に目覚めたようで、次男もやっとなつきはじめた。困っていることを伝えると、周りの人たちが手を差し伸べてくれるのだという、あたりまえでありつつ、育児クラスタにいると忘れがちなことを改めて思ったのだ。

●兄弟の片方だけ休みというのができるのかどうか
→面談の時に担任の先生から「お母さん、お休みの日の時間は9時〜16時でお願いしますね」と言われて気づいたのだが、この6年の間にルールが変わったのか、筆者の区の(公立)認可園では、平日親が休んでいる日も、子どもを預けられるようになっていたらしい。
なぜこれをもっと早く聞いておかなかったのだろう……。
なお、同じ理由で、兄弟どちらかが休んでいても16時までは預かってもらえるので、小児科の通院にも困らない。

●片方が呼びだされたとき
→これはどうにもならないので連れて帰るしかない。
すでに1度あったが、夫が対応してくれて非常に助かっている。


ある日、迎えに行くと兄弟揃ってご飯を食べているところで、二人が同時にそっくりな顔で振り向いたのが、なんだかおかしかった。

弟は大好きな兄にくっついて、朝は5歳児クラスに顔を出すと、人が集まってきてアイドルよろしくハイタッチ会が行われる。弟が好きすぎる兄は、先生にお願いして一日数回は弟のクラスに様子を見に行っているのだという。

二人を一緒にしておくと、いつもキャッキャキャッキャ楽しそうに笑っているのだ。

きょうだい同園のメリットとして、「お迎えが一回で済む」「地震などの災害が起きた時に子どもが揃っていたほうが安心」「勝手がわかるから楽」など数え上げたらきりがないが、

「子どもたちが楽しそう」

これ以上しあわせなことはないだろう。

“仲よし兄弟が一緒に過ごす”これが本来あるべき自然な姿だったのかもなあ……。
遠回りはしたけど、行った先々で素敵なものを得て、我々は今ここにいる。
半年後、次男は在園児として、巣立っていく兄を見送ることになる。

【関連アーカイブ】
早生まれの保活・最終章 ―― きょうだい同園を目指した1歳児クラス転園
http://mamapicks.jp/archives/52196500.html

ワシノ ミカワシノ ミカ
1976年東京生まれ、都立北園高校出身。19歳の時にインディーズブランドを立ち上げ、以降フリーのデザイナーに。並行してWEBデザイナーとしてテレビ局等に勤務、2010年に長男を出産後は電子書籍サイトのデザイン業務を経て現在はWEBディレクター職。