金正恩氏

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ロシアの海域で操業していた北朝鮮の漁船に対して、ロシア国境軍(国境警備隊)が発砲し、北朝鮮の乗組員1人が死亡する事件が起きたとAP通信が報じている。

ロシア当局によると、14日夜に北朝鮮の漁船「テヤン10号」がロシアの排他的経済水域で違法操業を行っていた。これを発見した国境警備隊は同船に停船を命じた。

リンチで殺害

警備隊員が同船に乗り込み臨検しようとしたが、乗務員は暴力的に抵抗した上、警備隊員の武器を奪い、そのまま逃走しようとした。

ロシアの警備艇はテヤン10号に対して数回警告射撃を行った。それにもかかわらず、漁船の乗組員は警備隊員に暴力を振るい、頭部を負傷させたため、自衛のためやむを得ず銃撃したという。その結果、北朝鮮の乗組員1人が死亡、8人が負傷した。

北朝鮮の金正恩党委員長は近年、精力的に水産部門の視察を続けている。つまり、漁業関係者には国家から漁獲拡大の号令が下っている状況であり、北朝鮮の漁業の現場は、いろいろな意味で生死をかけた「最前線」であるわけだ。

それだけに、漁民たちの気性も自ずと荒っぽくなるのかもしれない。

ロシアの領海では北朝鮮の漁船による違法操業が横行。その上、取締りに駆け付けたロシア国境軍と衝突し、漁民らが逆に、ロシアの兵士に集団暴行を働く「返り討ち」事件まで起きていた。

ロシアの国境警備は、銃撃も辞さない強引さで知られており、過去には日本の漁船員が殺害される事件も起きている。

また、ロシア国境軍と言えば、上部組織は治安・諜報組織のロシア連邦保安庁――すなわち旧KGB(国家保安委員会)である。泣く子も黙るKGBに襲いかかる漁民と言うのも、北朝鮮以外には考えられないのではないか。

もっとも、北朝鮮の漁民や船員の気性の激しさは今に始まったことではない。

たとえば、アフリカ近海でソマリアの海賊に襲われた貨物船の乗組員らは、自動小銃やロケットランチャーで武装した相手に手製の武器で対抗し、撃退している。

(参考記事:北朝鮮船舶、ソマリア海賊を撃退! ロケットランチャーに火炎瓶で対抗

商用の船ですらこうなのだから、軍などの武装船は言わずもがなだ。

中国漁船の違法操業を摘発する朝鮮人民軍の取締船は、本来の使命から逸脱し海賊船と化してしまっているようだ。摘発した中国人漁民を人質に、「身代金ビジネス」に精を出している彼らは、時には中国人に凄惨なリンチを加え殺害してしまうという。

まさに「無法海域」とも言うべき有様なのである。