ロンドン市のサイモン・クーパー・スポーツ局長(右)と握手する千葉市の熊谷俊人市長(14日・ロンドン共同)

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 2020年東京五輪・パラリンピックの競技会場となる千葉市の熊谷俊人市長(38)が11日から14日までロンドンを訪問し、史上最高と称賛された12年ロンドン大会のレガシー(遺産)や障害者スポーツへの取り組みを視察した。14日には同市のサイモン・クーパー・スポーツ局長らと会談し、4年後の大会開催に向け「スポーツ環境、障害者の社会参画、多様性への対応を含めて都市として大きく飛躍できるチャンス」と決意を新たにした。

 「車いす競技の聖地を目指す」と宣言する熊谷市長は障害者スポーツの振興に関心が高く、滞在中にパラリンピック発祥の地である英国ストーク・マンデビルの施設も見学。障害の有無にかかわらず支え合う「共生社会」の実現へ「インクルーシブ(包括的)な取り組みは新鮮な驚きがあった。障害者と健常者が一緒になってスポーツをできる環境こそが千葉市の目指すあるべき姿。五輪とパラリンピックをセットで考え、両方のレガシーを残したい」と語った。

 4年前、熱狂に包まれたロンドン東部の五輪公園は周辺にマンションや大学が並び、市民の憩いの場に生まれ変わった。クーパー局長は「英国で最も貧しい地区だった工業地帯を再開発し、全て長期的なレガシーを考えて計画した」と説明。09年に公表された計画書でスポーツへの参加を促す戦略を立て‘常的にスポーツをしない50%の市民⊂祿下圓離好檗璽鳥臆知┌隠亜鶲焚次修硫革を重点的に取り組み、大幅に改善された成果が大会成功の背景にあるという。

 バリアフリーの整備で交通機関は改善され、90%以上のバス停が車いすのままでバスに乗れるようになった事例も紹介されたが、熊谷市長はロンドン大会の成功から学ぶ重点事項として「バリアフリーのハード面より、障害者を含めたスポーツへの参加や社会の意識を変えるソフトの部分が大切。そこがまだ遅れている」と指摘。「二つに焦点を絞り、スポーツをやる機会がない人にアクションを起こす戦略は大変参考になった。東京大会は見た目だけ成功させても何も残らない。コストだけが残ってしまう。20年以降のレガシーを考え、地域社会でスポーツ環境が変わらないといけない」と課題を口にした。

 千葉市はこれまで車いすバスケットや車いすラグビーの大会を開催した実績があり、東京大会では幕張メッセでレスリングやテコンドーなど五輪3競技、ゴールボールや車いすフェンシングなどパラリンピック4競技が行われる。「大切なのはインクルーシブな考え方。障害者と健常者の混合大会を増やしたり、スポーツ施設を障害者も使える形に変えたり、これからやるべきアイデアは今回のロンドン視察で確認できた。あとはこれを千葉版にアレンジしてやっていきたい」と述べた。