小林悠(撮影:PICSPORT)

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オーストラリア戦後の記者会見で、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督はオーストラリアのセットプレー対策として、本田圭佑と小林悠に「正確な役割」を与えていたと語った。それはどんな役割だったのか、またそれ以外の小林の役目は男だったのか。さらに、酒井高徳が監督から小林のマークの相手を変えるよう指示が出たときに失点してしまったというのは、正しいのか。

ところが、報道各社は誰も小林からコメントを聞くことができなかった。小林の足が痙攣し、途中交代していたからではない。試合後の運営のミスだった。

試合が終わると記者たちは監督会見が行われる部屋に集められた。そして監督会見の間は部屋から出られないという。その間に選手たちがバスに乗ってしまうと訴えたが、会見が終わるまで選手は通さないという説明があり、記者たちは大人しく席に座っていた。

ところが、ハリルホジッチ監督の会見が終わり、選手たちの声が聞けるミックスゾーンに行くと、もう半分近い選手は通った後だったのだ。そしてその記者がいない間に通り過ぎた選手の1人が小林だった。

そこで、16日までは川崎から休暇をもらっている小林がクラブハウスに現れる時を待って、話を聞いてみた。

ハリルホジッチ監督が語った「正確な役割」とは、セットプレーの際の「ストーン」と呼ばれる、特定のマークを持たずエリアに入ってきたボールをはじき返す役のことだった。川崎でも同じ役割を果たしていて、自信はあったようだ。また、裏に抜け出す動きは前日から長谷部誠に「こういうときは裏に抜けるのでパス出してください」と話をしに行き、そこで長谷部に理解してもらったようだ。

さらに、今回はヘディングを評価してもらったらしい。「ほぼ勝ちましたね。僕のほうにボールを蹴ると言われていた」と言うが、「あとはヘディングが入っていれば……」と73分、「自分では入ったと思った」というシュートは悔やんでいた。また、PKにつながる突破を許してしまったのは、ちょうど戦術変更が行われたときだったということも確認できた。

本来なら、小林と酒井のコメントが揃い、右サイドの狙いがどうだったか検証できるところだったのだが、試合後にそれが叶わなかった。オーストラリアまで行ったにも拘わらず、残念だったと言うほかない。

ミックスゾーンに選手を通さないと言っていた担当者は「自分はそう聞いていた」と責任逃れし、隣にいた係員は「監督の会見が長引いたのだろう」と笑い話にしようとする始末。その他の運営は素晴らしかっただけに、最後の失態が残念でならない。

【日本蹴球合同会社/森雅史】