中国の有人宇宙工程弁公室は16日、有人宇宙船「神舟十一号」ミッションについての記者会見を開きました。日本時間10月17日午前8時30分、中国甘粛省にある酒泉衛星発射センターから、中国人宇宙飛行士2人を載せた有人宇宙船「神舟十一号」が、長征二号Fロケットで打ち上げられます。2013年6月に打ち上げた神舟十号から数えて、実に3年ぶりの有人宇宙飛行となります。


 


また、神舟十一号有人ミッション記者会見の席上で、景海鵬宇宙飛行士、陳冬宇宙飛行士の2名のミッションクルーが発表されました。コマンダーを務める景海鵬宇宙飛行士は神舟七号、九号に続く3度目のクルー抜擢となりました。



 


新居「天宮二号」とドッキングへ


 神舟十一号は打上げ後、先月打ち上げられた中国の宇宙実験室「天宮二号」と2日後にドッキングし、30日間に及ぶ有人ミッションを開始します。ランデブー、ドッキング技術については、ターゲット試験機の天宮一号で無人の神舟八号、有人の神舟九号、十号の3回にわたり実施、運用技術を確かなものとしています。


 


 神舟十一号の基本性能は、前回の十号とほぼ変わらないとされていますが、今回の天宮二号とのドッキングでは軌道高度が393kmという事もあり(神舟十号・天宮一号ドッキング時の高度は約340km)、飛行プログラムの調整を行っており、また、将来の宇宙ステーション運用を見据えたランデブー技術の向上も進めているということです。



 


搭乗人員が「削減」?そのわけは


 神舟宇宙船は3人乗りで、中国初の宇宙飛行となった神舟五号では1人、その次の六号では2人、八号は無人でしたが、神舟七号、九号、十号は3人で有人宇宙ミッションを行ってきました。今回は1人減って宇宙飛行士2人が宇宙船に搭乗し、天宮二号で様々な任務をこなすことになります。なぜ3人ではなく2人なのか? それは神舟十一号の生命維持システムの性能を考慮したということを、神舟宇宙船の総設計師が以前に現地メディアのインタビューで答えています。


 


 神舟九号では3人の宇宙飛行士が10日間(全ミッション期間は13日間)、十号では同じく3人が12日間(同15日間)にわたって天宮一号に滞在しました。今回の神舟十一号ミッションでは合計30日間の連続滞在を実施する予定となっています。九号、十号ミッションを合計した22日間を超える長期滞在となりますが、それはつまり、30日間を神舟十一号・天宮二号の生命維持システム及び物資でまかなわなくてはならないミッション、ということにもなります。


 


 神舟十一号、天宮二号ともに性能はこれまでの宇宙船と宇宙実験室から大きく変わらない一方で、実験内容は増え、長期間の滞在を達成する必要があります。これらの条件を満たすには、3名では生命維持システムと物資の限界から長期間の滞在は難しく、2名に絞ることで神舟宇宙船に搭載できる物資を増量でき、かつ神舟十一号・天宮二号の生命維持システムで30日間の有人滞在期間を確保できるという選択となったようです。なお、帰りは空いた1人分のスペースを活用して、持ち帰ることのできる実験機器が増やせるとのメリットもあるとか。


 


健康管理も大事なお仕事


 30日間の滞在期間中、2人の宇宙飛行士は1日8時間、週6日勤務で、ドッキング中の機体管理や神舟九号、十号でも行った手動ドッキング、各種実験作業などを分担して行う予定となっています。


 なお、長期間にわたり体が微小重力状態に置かれるため、体調管理も重要となることから、トレーニングマシンを用いた運動にエコー検査などの身体検査機器、地上からの遠隔治療支援システムも備えているのだそうです。


 また、栄養面では100種類に及ぶ宇宙食のメニューを用意しており、料理の味はすでに宇宙飛行士らのお墨付き。そのほか地上との映像、音声、電子メールを通じて身近な人との連絡が取れるようになっており、心理面でのケアもしっかりした体制がとられています。


 


着実に歩みを進める中国版宇宙ステーション計画


 天宮一号、二号で積み重ねた技術と経験をもとに、中国は2018年から宇宙ステーション「天宮」の建設に着手します。今回の神舟十一号・天宮二号ミッションは、それに先駆けて有人長期滞在や多数の実験を行うノウハウを蓄積する役割を担うことになります。神舟十一号ミッション完了後は、2017年に宇宙輸送船「天舟一号」の運用、ドッキング、軌道上補給ミッションを控えており、着実にステーション運用への実績を積み上げています。


 


Image Credit:CASC、CAST