多様化する葬儀サービス。果たして多様化は本当にいいことか?

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家族葬、音楽葬、散骨、コインロッカー納骨堂等、昨今の葬儀サービスは異様なまでの多様化を見せている。このことについて、旧来の葬儀ビジネスは利益をなかなか出せなかったから、葬儀会社が新しい儲け口をパッケージングしていると言われることもある。しかしこうした分析は一概に是とできない。それは我々の価値観の変容も関わっているからだ。その一例として「供花」について「教えて!goo」に寄せられた質問、「仏壇に供えるお花について」を見ていきたい。

■形式的なマナーから、思いを重視する傾向へ

「仏壇に供えるお花は切り花がいいと聞きましたが、どんな花でも供えていいのでしょうか?」の質問について、回答は2通りのパターンが見られた。一つは供花のセオリーを抑えること、つまり供花として「ふさわしい」と考えられてきた種類や色についてのアドバイスだ。

「仏壇には基本は菊が一番良いですが」(MAROU2678さん)

「基本は白系統、淡い色です。濃い赤は避けたほうがいいです。匂いのきついものはだめです」(nitto3さん)

しかしこれと同じくらい、形式に縛られず故人の好きだった花や仏壇を美しく見せるために様々な花を供えても良いでのは、という回答もあった。

「日本人は遊びが好きなので、椿は枯れるまえに落ちるからダメとか、赤い花は血の色で縁起が悪いとか、ゆりは死人を呼ぶから葬儀以外はダメとか色々言います。でもみんな言葉遊びでしかないです。個人が祭る仏壇にあれがダメこれがダメなどというのはないです。故人や自分が好きだった花を飾ればいい」(michael-mさん)

供花一つをとっても、私たちの死にまつわる価値観が変容し、多様化していることがわかる。では、こうして多様化していく葬儀は今後も長く続いてくのだろうか。それとも、私たちの価値観がまた「昔がいい」と回帰していくこともあるのだろうか。

■長く続く価値観には、説得力ある思想的裏付けが必須!

ここでは葬儀サービスの多様化の行く末について、供花の他に「生花祭壇」を例に上げながら、心に残る家族葬を行う葬儀アドバイザーに考えを示していただいた。

「葬儀の祭壇に彩りを添える『生花祭壇』が、ちょっとしたブームになっています。生前に故人が熱中していた事などをモチーフに生花で表現しています。例えば地域の草野球に熱心だった人ならば、バットやグラウンドを生花の配列や組み合わせで描いたり、クルマ好きであった人ならば、生花のあしらいで祭壇を自動車に見立てるなど……。その人らしさを演出できる生花祭壇ですが、なんと、バラやカーネーションなど葬儀にはタブーとされてきた花も、何ら抵抗感なく登場し、夏場にはヒマワリも用いられるとの事もあります。タブーの解禁という意味では、葬儀会社の若手社員が儀式中にバースデーケーキを出したというエピソードがありました。葬儀の日と故人の誕生日とが近かったため、サプライズを狙った企画だったようです。そして意外にも遺族の方々には結構受けていたとか」

葬儀中に誕生日を祝うことには、さすがに抵抗感をおぼえるかもしれないが、一つこれも我々の価値観の受け皿が大きくなっていることの証左かもしれない。ただこの広がりは今後ずっと大きくなり続けるのだろうか。

「確かに、こうした葬儀の多様化は葬儀における主導権が、これまでの宗教者や葬儀会社から一般消費者へと移譲しつつあるということを感じさせます。ですが、こうした葬儀スタイルの自由化・多様化の流れは、ずっと続くのか、それとも一過性で終わってしまうのかが気になります。葬儀の多様化が主流となっていくには、世の中で一つの運動が展開され、その根底において説得性のある思想や考え方の有無がカギだと思います」

マナーや常識というのは、当代の人間のどれほど多くがそれを是としてきたかという量的問題にすぎない。それは、旧来のものであるほど量に圧倒され、陳腐化されていることも少なくない。したがって今多くの人に受け入れられている新しい葬儀サービスも、今後を見据えるなら死生観などの根本思想から説得力のある変革を行っていかなければならない。

●専門家プロフィール:心に残る家族葬 葬儀アドバイザー
「葬儀の参列者を遺族や近親者など、本当に故人を亡くした悲しみを共有できる方だけに限定」し、「世間体を重視している感のある告別式を簡素化」する家族葬の提案を行う。

(樹木悠)

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)