ブームになったココナッツオイル、本当に体に良いのか?

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海外セレブが愛用しているとの情報が広まり、あっという間にダイエットの救世主のようにもてはやされたココナッツオイル。だが、実は過剰摂取が引き起こす影響について、問題視する声も聞こえている。「教えて!goo」にも「ココナッツオイルと冷え性について」という質問が投稿されていた。

南国で親しまれたココナッツには体を冷やす効果があるのではないかと、投稿者は問うている。そこで今回はココナッツオイルについて正しい情報を得るべく、植物油研究家の林裕之さんに話を聞いた。

■ココナッツオイルは体を冷やす?

まずは単刀直入に、ココナッツオイルは体を冷やすのか林さんに聞いてみた。

「健康法、食事法のひとつであるマクロビオティックの考え方の中に、陰陽調和という『体を温める食べ物と冷やす食べ物』をバランスよく食べましょうというのがあります。この分け方だけが独り歩きしているのではないでしょうか。分け方の基準は、冬が旬、地面の“下”にできる、黒、赤、オレンジ色の野菜は体を温め、夏が旬、地面の“上”にできる、白、青、緑色の葉物野菜は体を冷やすとされています。また、寒い地方でとれる果物は体を温め、暑い地方でとれる果物は体を冷やすという分類になっているようです。ですので、暑い所で育つココナッツは、体を冷やす食べ物に当てはまります。南国の人たちにとって理にかなったものでも、日本ではそれほどの必要性はないということです。ココナッツに限らず何でも摂りすぎはNGで、要はバランスの取れた食事が肝心です」(林さん)

どうやら科学的な根拠は見つからず、マクロビオティックの観点からそういった疑問が発生したのではないかという見解だ。ちなみにマクロビオティックとは、通称マクロビとも呼ばれる長寿を意識した食事法の一つ。玄米、野菜、海藻などを中心に摂取するのだが、最近では美容法としても注目を集めている。

■ココナッツオイルの効用

やせ体質になるといわれるココナッツオイルだが、実際はどんな油なのだろう。

「油の性質は、主に動物肉に多く含まれる『飽和脂肪酸』と、植物や魚に多く含まれる『不飽和脂肪酸』に分けられます。ココナッツオイルは成分の90%が飽和脂肪酸で、その半分以上が消化吸収が早くエネルギーとして使われやすい『中鎖脂肪酸』です。太りにくい油といわれるのは、この成分によるものです。また、メアリー・T・ニューポートというアメリカの医師が、若年性アルツハイマー病を発症した夫にココナッツオイルを食べさせたところ劇的に症状が改善、その体験を書いた本がベストセラーになり、日本でも注目されるようになりました。このことがきっかけとなり、ココナッツオイルがもつ美肌やダイエットなど他の効能にも注目が集まり、一躍ブームになりました」(林さん)

中鎖脂肪酸は、ココナッツやパームヤシなどに含まれる天然成分。しかし、林さんによれば、喧伝されているほどの効果があるかどうかはよくわからないそうだ。アルツハイマー病の改善にしても、アメリカの研究で3人に1人程度と、誰にでも効果があるわけではなく、予防効果については未知数だという。

さらにオイルの摂り方にも、注意をしなければならないことがあると林さんはいう。

「ココナッツオイルのもつ効能はよいのですが、これだけを摂取しても健康面は改善されません。植物油全体の摂取を省みることが重要です。摂り過ぎの傾向にあるリノール酸に変えて、不足しがちなオメガ3脂肪酸(DHA、EPA、αリノレン酸)を毎日摂取するというバランスのよい食生活ができた上で、ココナッツオイルの効能も意味のあるものになります」(林さん)

動物性の脂肪より、植物性の油の方が体によいと思っていたが、どうやらそう単純なものではないようだ。まずは、体外から摂取する不飽和脂肪酸のバランスが大事だったのだ。

今回は流行していたココナッツオイルについて専門家に聞いてみたが、いかがだっただろうか。健康食品のブームを鵜呑みにせず、きちんと調べた上で、自分に必要なものかどうか判断することが大切であると筆者は気づかされたわけだが、皆さんはどうだったろう。もし何か悩むことがあったらぜひ「教えて!goo」で質問してみよう。

●専門家プロフィール:林 裕之
植物油研究家。1956年東京生まれ。娘のアトピー再発をきっかけに植物油の害を知る。あまり知られていない植物油の正しい情報を知ってもらうべく、「油を変えて美味しく体質改善」をテーマに、レシピ本や料理教室、ブログなどの活動を夫婦で展開中。

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)