自然の摂理だと分かっていても、生理痛は女子にとってツラい問題。しかもそれが、「異常だと感じる痛み」だったとしたら…。

自身の生理痛の原因が「子宮内膜症」によるものだと知った、ニューイングランド在住のライター、アビー・ノーマンさんが、苦しみもがいた自身の体験談をコスモポリタン イギリス版に語っています。

"自分の生理のあまりのひどさに、いつも羞恥心を感じていました。"

「初めての生理は12歳の秋に来ました。私は1日中トイレの中で背中を丸めて、出血と腰痛と気持ち悪さに苛まれました。こんなに苦しいのは初めての生理だからだと自分に言い聞かせ、これから年と回数を重ねていけば慣れていくだろうと願いましたが、残念ながらそれは間違っていました。

それから数年、生理の周期は定期的になってはいきましたが、常に激しい下痢と吐き気を伴い、多くの場合それは夜中に突然訪れました。出血もあまりに多く、夜用生理ナプキンをいくつも重ねて使わなければならないほどでした。タンポンを使おうとしたこともありましたが、どのメーカーのどのサイズのものを試しても、痛すぎて耐えられず…。その後その痛みの理由を知ることになるわけですが、当時ティーンエイジャーだった私は、生理ナプキンしか使えないことをからかわれるのが、ただただ嫌でした。

体育の授業のとき女子更衣室では、よくお互いに生理用品の貸し借りをしていました。でも私がタンポンを使わないことがわかると、クラスの中で目立つグループの女子たちが、ナプキンを使う私を『オムツしてるみたいで気持ち悪い』といじめました。普段はそういった悪口に簡単に屈するような自分ではありませんでしたが、自分の生理のあまりのひどさにいつも羞恥心を感じていました。こんなにひどいということは、自分は体が弱いということなのかもしれないと思い始めました。もちろん他の女友達も生理がツラいと愚痴をこばしてはいましたが、誰も学校を休み、1日中家で寝たきりになるほどではありませんでした。それに、きっとベッドの上にタオルを敷いて寝たり、友達の家にお泊まりに行ってソファーを真っ赤に染めてしまうのを恐れたりするほどの子はいなかったでしょう。

私は毎月7日間大量に出血し、それによって体力もかなり奪われました。学校では様々な活動に参加していて、忙しいけどとても充実した毎日を送っていたのに、本来女性なら誰しも経験するこの自然の摂理と思われる現象が、私にとっては日常生活さえも不自由にするほどの痛みとなっていることを、不公平に感じました。体育の授業では定期的に痛みに苛まれ、あえなくベンチで座って見学するハメに。本当は部活にだって入りたかったのに、更衣室でのいじめを想像すると、入部体験すらできませんでした。

こんなに臆病になるなんて、自分はどこかおかしいに違いないと思いましたが、誰にも話せませんでした。12歳で家を出て、祖母の家に居候していた私の10代は常に孤独との闘いでした。生理についてはもとより、そもそも悩みを相談できる母親が初めからいませんでした。母は事情があって何年も生理が来ていなかったので、彼女から自分の体のためのヒントを得ることなど不可能だったのです。時々、母の不在のせいで、私は"真の女性"になれないのかもしれない…と不安になりました。

19歳で大学に通っていたある日、私は激しく体調を崩したのですが、その原因は誰にも解明できませんでした。数カ月前から、生理が来なくなったと思ったら突然ひどい出血に襲われ、下着に10円玉サイズの血の塊ができるほどの症状に陥っていました。体は衰弱し、震えが止まらず、吐き気をもよおし、お腹、骨盤、後背部に激しい痛みを感じました。はじめはただの大学生活によるストレスかと思いましたが、2週間に2度も救急救命室に運ばれると、さすがになにか大きな異常があるのだと思わずにはいられませんでした。

この体調不良の原因を解明するために病院に掛かり、学校を休学している間、私は色々とリサーチをしました。そんなある日「子宮内膜症」という病名を知り、その病状を読んだとたん涙が溢れました。そこには私の経験してきたことが全て記載されていました。中には生理中に感じる排尿の痛みなど、私にしか起きていないのではないかと思っていた変わった症状まですべて。これが原因か…と思いました。その後何人ものお医者さんによる診察と手術を経て、診断が確定しました。

子宮内膜症とは、子宮内腔にしか存在しないはずの細胞組織(通常生理時に出血するもの)が、体内の別の場所に見つかる病気です。子宮の近くに位置する卵巣内や、卵管内、また生殖器周辺の骨盤内などが、例として挙げられます。腸や膀胱、腎臓に見つかる場合もあります。子宮内膜症が肺や脳内に発症したことのある女性もいるそうです。子宮内膜症はホルモンサイクルの変化に伴って病変を起こし、例えば1カ月かけて子宮内に出来上がった細胞組織が剥がれて生理が始まるとき、子宮内膜症も(細胞が体内のどこにあろうと)同時に病変が起きて出血するのです。しかし、体内から自然と排出される生理の出血とは違い、子宮内膜症による出血は行き先がありません。代わりに炎症を起こし、生理時に限らず1カ月近く激しい痛みが続く場合もあります。

子宮内膜症の全貌はまだ明らかになっていません。実は生理自体も、科学的にはっきり解明しきれてはいないのが現状なのです。子宮内膜症を抱えた女性たちは、吐き気をもよおすような激しい腹痛や腰痛を生理時に感じることがあります。疲労や大量出血、胃腸の異常なども併発し、妊娠しにくくなったり、妊娠を維持しにくくなったりもします。でも中には症状がまったく表れない女性もいるので、子宮内膜症を患った女性全員が妊娠できないというわけではありません。

子宮内膜症と診断されてから私は何度も手術を受けましたが、未だに(生理時に限らず)痛みは続いています。月によっては、痛みを感じない日より感じる日の方が多いときもあります。子宮内膜症への対策はいくつかありますが、完全な治療法はありません。知り合いの女性の中には、ピルや避妊リングの常用でなんとか痛みを抑えられている人もいます。私自身も数年にわたりピルを飲み続けていましたが、服用していたものが製造中止となってしまい、それから合うものが見つけられていません。その後避妊リングを試したところ、子宮内膜症の痛み自体は変わりませんでしたが、生理時の出血は多少軽減されました。しかし残念ながら、恐らく子宮内膜症か手術による細胞組織の損傷が原因で、新しい避妊リングに交換する際の痛みに耐え切れず失神してしまい、新しいものを着けられなくなってしいました。

でもこういったものが、子宮内膜症を治してくれるわけではありません。症状を軽くするには腹腔鏡下手術が効果的だと言われていますが、ほんのわずかな専門医しか(上手く)施術できないため、その恩恵に預かれる女性は少ないというのが現状です。

何年にもわたり(特に10代の頃)、私は自分の生理が大嫌いでした。学校の他の女の子たちのように上手く対処できないことに、怒りと落胆を覚えました。生理のせいで日常生活さえ困難に感じてしまうことに、混乱し、激怒していました。でもその理由を知ったとき、安堵と、新たな恐れが入り混じったようなほろ苦い気持ちになりました。自分が"おかしい"わけでも"弱い"わけでもないことにほっとしたと同時に、そもそもこういった病を患っているという事実が怖くなりました。私は今25歳ですが、子宮内膜症は、私が大好きだったダンスなどの活動や、誰かと性的関係を築く際にも、大きく影響を及ぼしてきたことは言うまでもありません。

でも、この戦いにおいて独りではないと知っている今、私は泣き寝入りしないと決めました。

若かった頃、更衣室の中で他の女の子たちにタンポンが使えないことをバカにされたとき、自分の生理について口にすれば良かったと今では思います。苦しんでいることや、悩んでいることを伝えれば良かった。彼女たちの生理についてもっと聞けば良かった。そうやってお互いの生理について話せていたら、自分の病にももっと早く気づけたかも知れない…と。

それに、もしかしたら他の女の子たちも自分の悩みについて打ち明けてくれて、"みんな独りぼっちじゃないんだ"と、励まし合えたかもしれませんしね」

(本文は米国子宮内膜症協会より、医学的正確性を認定されています。)

※この翻訳は、抄訳です。

Translated by 名和友梨香

COSMOPOLITAN UK