韓国社会で根深い不正や汚職をなくす目的で施行された接待規制法。国民の7割は同法を歓迎しているが、韓国社会で接待文化は広く定着してきただけに、波紋も広がっている。写真は韓国料理。

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2016年10月15日、韓国社会にはびこる不正や汚職の根絶を目指す接待規制法。国民の7割はクリーンな社会づくりをうたい、9月28日に施行された同法を肯定的に評価し、歓迎している。しかし、韓国社会で接待文化は広く定着してきた。消費の落ち込みが懸念されるなど波紋も広がっている。

接待規制法は、提唱した政府機関、国民権益委員会の元委員長の名前にちなみ「金英蘭法」とも呼ばれる。公務員だけでなく、記者らのメデイア従事者や、私立学校教員らも対象になる。適用を受ける機関は中央・地方の行政機関、市・道の教育庁(教育委員会に相当)、学校、報道機関など4万919、対象者は400万人余りに達する。

対象者が1回100万ウォン(約9万1000円)、年間300万ウォンを超える金品を同一人物から受け取った場合、双方が懲役または罰金を科される。施行令では、会食接待費、贈り物、慶弔費の上限をそれぞれ3万ウォン、5万ウォン、10万ウォンとする「3・5・10条項」を設けた。韓国の一般的な接待や贈り物の額に比べ、かなり低い水準だ。

聯合ニュースによると、世論調査会社の韓国ギャラップが今月4〜6日に全国の成人1009人を対象に実施した調査で、回答者の71%は接待規制法の施行を肯定的に評価した。否定的な評価は15%にすぎなかった。

肯定的に評価する理由としては「不正腐敗がなくなる」(31%)、「社会が透明、クリーンになる」(17%)、「不正の請託が減る」(14%)、「公職社会の変化が期待できる」(9%)などが挙がった。同法施行後、人と会ったり仕事をしたりする上で不便を感じるかとの質問には87%が「感じない」と回答。「感じる」は10%だった。

接待規制法の影響が顕著に表れたのは法人カード。東亜日報によると、カード会社が9月28日、29日と4週間前の同じ曜日である8月31日、9月1日の使用内訳を分析した結果、飲食業の中でも高級飲食店の多い韓定食店での法人カードの使用額は17.9%も減少して下げ幅が最も大きかった。中華料理店も15.6%減少した。法人カード1回の利用金額も減少。飲食業種では法施行前は平均5万5994ウォンだったが、施行後は5万1891ウォンと7.3%減った。

接待規制法の施行を控え、ソウル市内などでは高級飲食店の廃業が相次いだ。施行初日、これまで公務員らでにぎわっていた政府庁舎付近の飲食店は閑散とし、庁舎内の職員食堂は盛況だった。夜の街では閑古鳥が鳴いている。

内需などに接待規制法がマイナスの影響を及ぼすことも懸念される。民間シンクタンクの韓国経済研究院は飲食店、ゴルフ場、消費財小売業などが打撃を受け、年間11兆6000億ウォン(約1兆500億円)の経済的損失が予想されると分析している。(編集/日向)