台湾に対する中国の締め付けが強まり、中国本土から観光客も激減している。台湾の蔡英文総統は日米両国の有力紙と相次いで会見。日米との関係強化を目指し、中国をけん制している。写真は台湾の日月潭。

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2016年10月14日、台湾に対する中国の締め付けが強まっている。独立志向の民進党・蔡英文政権が「一つの中国」の原則に基づく「92年合意」の受け入れを拒んでいるためだ。中国本土から観光客も激減している。これに対し、蔡総統は日米両国の有力紙と相次いで会見。日米との関係強化を目指し対抗している。

台湾・中国時報が伝えた台湾観光局の統計によると、今年8月の訪台中国人観光客は国民党・馬英九政権当時の前年同月比32.41%減の24万9000人。ツアー客に限ると54.96%も減少している。今月1日から中国の国慶節(建国記念日)の連休中も中国人観光客の減少が止まらず、かつては1日に1万人以上が訪れていたが、今年は499人まで激減したという。

台湾南部の嘉義市では廃業に追い込まれるレストランなども続出。同市議会の蕭淑麗議長は、中国人観光客の減少により観光産業が存亡の危機に瀕しているとして、台湾当局に対策を求める議案を提出した。

台湾最大の湖で人気観光地の「日月潭」も事情は同じだ。台湾紙・旺報によると、日月潭の遊覧船は全部で120隻ほど。1、2隻の船だけで運営する小規模会社が多く、中国人観光客の減少を受け、値下げ競争を余儀なくされている。8隻の遊覧船を所有する規模の大きい会社でも、連休初日の1日に受け入れた中国からの団体客は、昨年の2割に満たない10組にとどまった。

中国の姿勢は、9月末にカナダ・モントリオールで開かれた国際民間航空機関(ICAO)の年次総会などの国際会議から台湾を排除するなど強硬。中国に対抗するかのように蔡総統は今月になって米紙ウォール・ストリート・ジャーナル、読売新聞と連続して会見し、「台湾は中国の圧力に屈しない。台湾は民意に反することはしない」などと強調した。

読売新聞との会見では「中国と台湾は別」と考える「天然独」(生まれながらの独立派)と呼ばれる若い世代にも言及。「自由民主の環境で育ち、自分たちの考えがあり、指導者が価値観を押し付けることはできない」と述べた。

さらに蔡総統は10日、辛亥革命を記念する双十節(建国記念日)の式典で演説。中国当局に早期の対話再開を呼び掛けるとともに、「(台湾当局が名乗る)中華民国が存在する事実を正視し、台湾人民の民主制度への信念を正視せよ」と訴えた。

一方、中国政府で対台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室(国台弁)の報道官は「92年合意の原則は揺るぎない」と改めて指摘。「“台湾独立”に関しては、いかなる形の分裂活動にも反対する。いかなる勢力も、いかなる人物も、13億人の確固たる民意を軽視すべきではない」と警告した。

中国人民大学国際関係学院の金燦栄副院長は6月の講演で、蔡政権が台湾独立へと進むならば、中国政府は「観察、圧力、対抗、衝突」と段階的に対応を強化していくと説明した。香港誌「超訊月刊」によると、中国当局はこのほど、民進党や政権関係者の中国本土、香港への上陸などを禁止。中国の対応が“圧力”ステージに突入した可能性もある。(編集/日向)