トップ下でフル出場した遠藤は、効果的なパスだけでなく、裏への飛び出しも見せた、しかし、チームを優勝に導くことはできなかった。(C)SOCCER DIGEST

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[ルヴァン杯決勝] G大阪1(4PK5)1 浦和/10月15日/埼玉スタジアム2002
 
 ルヴァンカップ決勝戦、G大阪はPK戦の末、惜しくも優勝を逃した。

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 キャプテンの遠藤保仁は、試合後、「どっちが勝ってもおかしくないようなゲームだったし、PKも実力のうちだと思う。良いゲームをしながら、タイトルを獲れなかったのは残念ですけど、浦和も必死に戦っていましたし、優勝を称えたいです」と、互角の試合展開だったと振り返った。
 
 たしかにこの日の両チームの実力は、ほぼ互角だった。G大阪がアデミウソンのスピードを生かしたカウンターでゴールに迫れば、浦和も熟成したパスワークで決定機を演出。最終的にどちらが優勝カップを掲げても納得できるようなパフォーマンスを披露した。
 
 10月1日のリーグ戦では4-0で浦和の圧勝。大敗を喫したG大阪だったが、約2週間が経ち、見事に生き返っていた。
 
「前半は多少ボールを持たれても、相手の背後を積極的に狙っていくというのは考えていた。アバウトなボールでも、相手のラインを下げる意味では効果的で、実際にそれがうまくはまっていた。リーグ戦で負けた時はまったくそれがなかったので、だいぶ修正できた」と遠藤が語るように、リーグ戦から修正を施し、相手の背後を突く攻撃を狙っていく。
 
 先制点を奪ったのは、G大阪。17分、中盤でセカンドボールを拾った遠藤が、相手のプレスを掻い潜りながら、前方のスペースにボールを送り、カウンターを発動させる。戻りながら受ける形になったものの、アデミウソンがDFと身体を入れ替えながら、そのパスを懐に収めると、そこからスピードアップ。さらに対峙した相手を振り切り約50メートルをドリブルで運び、GKとの1対1を冷静に流し込んだ。
 
「できる限り相手の嫌なところにポジショニングをとろうと思っていた。またアデミウソンともできる限り近い関係で、と思っていました。それについては悪くはなかった。実際それで先制点を取れましたし、プランどおりに進んでいったかなと思います」
 
 まさに遠藤の狙いどおりのプランで試合を進めたG大阪だったが、76分、一瞬の隙を突かれる。
 先制後も堅守を見せていた守備陣が綻びを見せたのは76分、浦和が選手交代を行なった直後のCK。交代で時間が空いたせいか、マークが散漫になり、ピッチに立ったばかりの李忠成に同点ゴールを許した。
 
「相手の流れの時もあるので……。そこで耐えられるか、耐えられないかでは大きな差があると思いますし、実際うまく耐えていたと思う。セットプレーで追いつかれはしましたけど、その後も慌てることはなかった。
 
 ものすごく大きな問題があったかは、振り返らないと分からないですけど、行ったり来たりのゲーム展開以外は、それなりにうまくできていたんじゃないかなとは思います」
 
 遠藤が実感していたように、実際チームは「それなりに」うまく試合を運べていた。それでも続けて「セットプレーなので防げたと思いますし、自分たちの(攻撃の)形も減っていた。あのへんはまだまだ課題かな」と語るように、一瞬の隙やわずかな気の緩みこそが、タイトルが懸かった大一番では、勝敗を分ける要因となる。
 
 遠藤ほどのベテランであっても、そのことを改めて痛感させられる決勝戦となった。
 
取材・文:多田哲平(サッカーダイジェストWEB編集部)