メディア芸術はぼくらの社会を映す「鏡」だ:文化庁メディア芸術祭20周年企画展へ行く

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今年で20回目を迎える「文化庁メディア芸術祭」の20周年企画展が10月15日(土)から11月6日(日)まで開催されている。20年を俯瞰する展示はさまざまなコンテンツの変遷を表すものであると同時に、ぼくらの社会がいまどのような文化、テクノロジーを受容しているか明らかにするものでもあった。

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2/15膨大な歴代受賞作品を概観するムーヴィーも投影されている。優秀賞を受賞した作品は大きく表示され、20年分が20分程度にまとめられて流れている。

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3/15第14回アート部門優秀賞:田村友一郎『NIGHT LESS』。すべてGoogleストリートビューのイメージで構成された映画。ストリートビューの特性上、夜のシーンがないため「NIGHT LESS」と名付けられた。

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4/15第19回エンターテインメント部門新人賞:橋本麦/ノガミカツキによるgroup_inou「EYE」のミュージックヴィデオ。こちらもGoogleストリートビューを使用しているが、建物の中などより多くの視点から撮影された画像が使われているのが特徴的。

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5/15第8回アート部門大賞:Electronic Shadow (Naziha MESTAOUI & Yacine AIT KACI)『3 minutes²』。室内を模した凹凸のある白い空間に男女のシルエットとさまざまな風景が投影されている。こうしたプロジェクションは当時に比べるとだいぶ身近なものとなったが、いま観ても新鮮に感じられる。

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6/15第17回エンターテインメント部門大賞:『Sound of Honda / Ayrton Senna 1989』。サテライト会場であるNTTインターコミュニケーション・センターでも、本作を制作しているライゾマティクスの作品は多く展示されている。

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7/15第3回 デジタルアート(インタラクティブ)部門大賞:AIBOと、第16回エンターテインメント部門優秀賞:水道橋重工「KURATAS」。それぞれ役割が違うロボットではあるが、時代も部門も異なる受賞作品がこうして並置されているのが面白い。

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8/15第13回アート部門大賞:David BOWEN『growth modeling device』。タマネギの地上に出ている部分を随時スキャンし3Dプリントで再現する作品。生物のため当時美術館で展示できなかった作品も今回は鑑賞することができる。

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9/15第18回エンターテインメント部門優秀賞:近藤 玄大/山浦 博志/小西 哲哉『handiii』。3Dプリンターで制作したパーツによってつくられた、直感的に操作できる筋電義手。

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10/15第18回アート部門審査委員会推薦作品:石橋友也『金魚解放運動』。フナの品種改良によってつくられた金魚を逆品種改良によってフナに戻すプロジェクト。このようにディスプレイで展示される作品も多い。

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11/15第18回エンターテインメント部門大賞:Google's Niantic Labs『Ingress』。エンターテインメント部門のゲームコーナーでは「ドラゴンクエスト」のようないわゆるテレビゲームからこうしたアプリまでさまざまなゲームが展示される。

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12/15 第14回エンターテインメント部門審査委員会推薦作品:『ファイナルファンタジー XIII』。第1回のデジタルアート(インタラクティブ)部門優秀賞を『ファイナルファンタジーVII』が受賞しており、10年以上かけてグラフィックがどのように進化してきたかを知ることもできる。

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13/15第17回マンガ部門大賞:荒木飛呂彦『ジョジョリオン ―ジョジョの奇妙な冒険Part8―』。マンガ部門からは「戦後マンガ史」以後のマンガ史をテーマに選ばれた作品が展示されている。

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14/15地下1階に設置されたマンガライブラリー。ここでは過去のマンガ部門受賞作品を全巻自由に閲覧することができる。

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15/15第6回功労賞:新海誠『ほしのこえ』。地下1階の映像コーナーではアート部門やエンターテインメント部門などジャンルを超えてさまざまな映像作品が上映されている。

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1997年より毎年開催されている「文化庁メディア芸術祭」の20周年を記念した展示会、「文化庁メディア芸術祭20周年企画展─変える力」がアーツ千代田3331にて10月15日(土)から11月6日(日)まで開催される。

約2,700点に及ぶ歴代受賞作品から「変化」をキーワードに選出された作品は、インスタレーションから映像、絵画、プロダクト、マンガ…と多岐にわたる。ほかにも映像作品が多数上映されるブースやマンガ部門の歴代受賞作品が全巻揃えられたライブラリーが設置されるなど、メディア芸術祭20年の歩みを俯瞰できる構成になっているのが印象的だ。

「変化」がキーワードに掲げられているとおり、本展は単なる作品の展示ではなく社会や文化、テクノロジーの変化に関する展示でもある。VRや3Dプリンティングなど最新のテクノロジーは作品に取り込まれることで、その可能性が認知され社会へと浸透してきた。受賞マンガ作品の変遷からはジェンダーの多様化を感じ取ることもできるだろう。

歴代受賞作品のなかにはいま観ても瑞々しく感じられるものがあるが、2016年のぼくらからするといささかか古臭く見えたり物足りなく思える作品があるのも事実だ。だがそれは作品の価値がなくなったということではなく、その作品が達成したものがぼくらにとって身近なものになったということでもある。

いま観て新しく思える作品も、5年後、10年後に観ればその印象は変わるだろう。本展は2016年のぼくらの社会と文化、テクノロジーがどのようなかたちをしているかを知ることのできる場にもなるはずだ。

文化庁メディア芸術祭20周年企画展―変える力

会場アーツ千代田3331

会期:2016年10月15日(土)〜11月6日(日)11:00〜19:00
※ 入場は閉場の30分前まで。
※ 入場無料

※ NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)、UDX THEATER、国立新美術館、千代田区立日比谷図書文化館をサテライト会場とした展示もあり。開館時間、休館日は会場によって異なる。

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