外山恒一、物騒な文書を微博でバラまこうとしたら即アカウント削除される

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 突如として「中華主義」をブチ上げ、物議をかもしている自称ファシストの外山恒一氏に、先日、改めてその真意を問う1万字以上の超ロング・インタビューを敢行した。よくよく話を聞くうちに、外山氏の掲げる「中華主義」とは実は「中華ほめ殺し主義」なのではないかという疑いが頭をもたげ、それを外山氏にぶつけたりもしてみた(あえて否定もされなかった)。が、その後、さらに新たな驚きの事実が判明。今月初め、外山氏は何と「中国共産党中央政治局」に宛てた公開書簡(http://www.warewaredan.com/wai-shan.html)を自身のサイトで発表していたのである。

――まったく何やってんスか?

外山:国慶節ですよ。10月1日、中国の建国記念日。それに合わせて公開したんです。「おめでとうございまーす!」って媚び……いや心からお祝いを。

――いつからこんな計画を温めてたんですか? 先日のインタビューではそんなこと全然言ってなかったじゃないですか。

外山:一昨年ぐらいからかなあ。本当は昨年の8月15日あたりに公開したかったんですよ。“戦後70年談話”と称して。安倍ちゃんのやつより中国人民に喜んでいただけたでしょう。

――どうして、去年にアップしなかったんですか?

外山:単に中国語への翻訳が間に合わなかったんです。中国語も日本語も完璧にできる人を探すのに時間がかかってしまいました。

――何が書いてあるのか、中国語だしよく分かりません。まあ、おおよそ想像はつきますが。

外山:日本語版も最近公開しました。“日本語版”というか、もちろんこっちが原文ですけどね。コレ(http://www.warewaredan.com/jouhyoubun.html)です(と提示する)。

――ほうほう。えー、「日が昇る方角にあって縁起がいい、ぐらいしか自慢できるところがない東の辺境のしがない国家社会主義政党のお山の大将が、日が沈む方角にあるとかディスられたところで痛くも痒くもない、世界に冠たる大国を統べる社会主義政党の偉大な指導者たちにお手紙します。つつがなきや……」って完全に聖徳太子のパロディじゃないですか。

外山:古式ゆかしいでしょ。もちろん「国家社会主義」の“国家”のところは目立たないように小さい字で書いてあります。

――小さくたって、書いちゃったら一緒でしょ。

外山:いやいや、そこはやっぱり気を遣わないと。外交ですから。

――肩書きは最初のインタビューでもお話ししていたとおり、“漢の倭の奴の国家社会主義者”になってますね。

外山:私は実際、“奴国”があったとされる福岡を拠点に活動してますし、そこらへんの辻褄合わせにぬかりはありません。

――しかし、またかなりの長文ですね。

外山:なんたって私、ファシストでしょ。そう公言もしている以上、一般にはファシズムは共産主義と相容れない真逆の立場とされていますし、どうしても説明的な部分を省けないんですよ。

――長いものは読みたがらない人も多いですし、かいつまんで内容を紹介してください。

外山:前回のインタビューでお話ししたことと重なりますが、まず日本が中華文化圏の一員であることを再確認し、文字つまり漢字や、道徳つまり仏教や儒教まで、この東の辺境の未開の野蛮人どもに教えていただいたことに厚く感謝申し上げた上で、日中間の最大の懸案の1つである歴史認識問題について、私の立場を明らかにしています。

――例の、“日本の過去の戦争を中華主義に基づいて正当化する”というやつですね。

外山:その文脈に紛れ込ませる形で、ファシズムつまり国家社会主義に関する一般的な誤解をとこうともしています。毛沢東先生は、ソ連が押しつけてくる方針を突っぱねて革命を成しとげ、中国の国情に合った社会主義の建設を進めてこられたのであり、日本の戦前の国家社会主義者たちも、ソ連に盲従していた日本共産党とは一線を画した“もう一つの社会主義”を志向したのだ、と。そして実際、毛沢東先生も尊敬されていた孫文先生の支援に奔走した日本人というのも、主に北一輝をはじめとする国家社会主義者たちだったのだ、という故事を思い起こしていただきたい、と。

――ざっと目を通しただけですが、孫文や毛沢東の言葉を引いて中国を牽制しようとしているのも読みとれます。

外山:牽制だなんてとんでもない。お2人とも偉大な方です。あと孔子先生ですね。この御三方の権威は中国共産党といえども公然とは否定できないはずなので、ことさらに引用して笠に着とこう、などという姑息な計算など毛頭ありません。

――しかし、前回も思いましたが、外山さんは何だかんだで歴史的経緯を踏まえた上でいろんな主張をされてますよね。

外山:それは当然です。しかも歴史を振り返れば、そもそも悪いのはアジアを侵略しに来た欧米列強であって、日本と中国は、その欧米列強に対抗する方法やタイミングがズレてしまったから今日のように険悪な関係になってしまっているだけで、スタート地点に立ち戻れば本来は何ら揉める必要はないんだと分かりあえるはずなんです。で、今回の“上表文”でもそういうことをルル述べた上で、「しかし今や中国は百数十年に及ぶ苦闘を経て、あの傲岸不遜なアメリカでさえも遠慮し始めるぐらいの堂々たる大国として、見事な復活を遂げつつあります。今度こそ中国を中心に東アジア諸国の団結を実現し、にっくき欧米列強を懲らしめてやりましょう。私たち日本の国家社会主義者も、親米の国賊自民党による反革命政権を一日も早く打倒して、その隊列に加わりますよ」……とまあ、そういうお手紙です。

――だから活動資金を提供してください、と。

外山:いやいや、そこまでは今回のところは書いてませんが……。

――過去の日本の中国侵略について、むしろ中国が日本に謝れという、虫がいいというか、アクロバットとしか言いようのない要求は?

外山:それはもちろん書いてます。“格下”の日本に謝罪させるなんて、“東アジアの盟主”たる者の振る舞いではないでしょう。逆に上から目線で「要らぬ苦労をかけたな」と日本をねぎらってやる方が、「さすが盟主様だ」と日本人も恐れ入って一億総感服しますし、向こうとしても気分がいいはずですよ。

――ともかく、おおよそそういう内容である、と。

外山:はい。詳しくは各自で読んで確かめてください。

――で、反応はどうなんです? そもそも習近平サンをはじめ、あちらのお歴々には読んでもらえたんですか?

外山:もちろんそんなにすぐ読んでもらえるとも、まして反応があるとも思ってませんよ。とりあえずネットに上げて、中国の人の目にとまって、ジワジワとこの文書の存在が認知され、広まっていけばいいな、と。

――“微博”にアカウントでも作るといいんじゃないですか? あるでしょ、中国版のtwitterみたいなのが。

外山:作りましたとも。そりゃあもう“上表文”公開と同時に作りました。プロフィール欄に「日本的革命家」って記入して、中国語版の“上表文”から、原文の「今度こそ、あなたがたが盟主、我々はそれを支える一員という本来あるべき関係のもと、共に手を結び、かの暴虐なる欧米列強の世界支配の野望をいよいよ最終的に打ち砕いていこうではありませんか」にあたる部分を抜き出して貼っときました。で、記念すべき最初のツイートとして、さきほどの“日出処天子”的な冒頭の書き出しフレーズをそのままコピペして、“上表文”のURLを添えたんです。これで私も中国人民に大人気もう間違いなしでしょう。遠からず“蒼井そらか外山恒一か”ってぐらいの状況になりますよ。と、まあ、そう思ったんですけどねぇ……。

――どうしたんですか、急にテンション下がって。

外山:ソッコーでアカウント削除されちゃいました。

――あらら。

外山:さっすが世界に冠たる大国を統べる偉大な社会主義政党の指導者様がたです。対応が実に細やか、まったくぬかりない!

――あくまで褒め倒すスタンスは変えないんですね。

外山:誤解されただけでしょう。同じ日本人同胞にさえ私はなかなか理解していただけないぐらいなんですから、仕方ありません。しかし真意はいずれ伝わるはずです。私がウソ偽りなく心底から中華主義者であり、日中の関係改善を望んでおり、私が提起している路線こそが日本を一夜にして“親中”の国に、しかも中国側の主導で変えてしまう妙手だ、ということがです。

――しかし、いきなり拒否られてるんでは、ねぇ……。

外山:いやいや、私はあきらめません。今回の“上表文”公開に先だって、中国のネット事情についても多少は勉強してみたんです。そしたら、例の「08憲章」とかいう民主化要求の宣言書も、もちろん中国政府は人民に閲覧させないようにしてるんですが、人民は人民であの手この手で政府の監視をくぐり抜けて、ちょっと検索ワードを工夫すれば辿り着けるようにされてるようなんですよ。私のやつは、「08憲章」と違って中国共産党にとって実はまったく不都合な内容ではなく、むしろ中国共産党と中国人民の双方を利するものなんだし、誰かがそのことに気づいて広め始めてくれれば、意外と急速に浸透するんじゃないかと思ってるんですけどね。

――さあ、何ともお答えしようがありません。

外山:とにかく最初の何人かだと思うんです。中国のネット論客とかに、今回の“上表文”を「面白い!」と思ってくれる人が何人か出てくれば、あとは時間の問題だろうと楽観しています。せっかく日本語版も公開したんだし、「なるほど、この線で中国のネット世論が対日関係を考えるようになってくれれば、現在の日本が陥りつつあるヤバい状況から抜け出せるかもしれない」と思ってくれて、かつ中国語も多少はできるという人は、それぞれ勝手に、これができるだけ多くの中国人の目に触れるように“工作”してほしいです。

――外山さんが期待している方向に事態が展開するかどうかはともかく、とりあえず外山さんが中国で蒼井そらさんと人気を競うようなことにでもなったら、そりゃ笑えますけどね。

外山:中国人民が私を支持してくれれば、中国共産党も私の存在を少なくとも気にかけてくれるようにはなるでしょう。そして、よくよく吟味してみれば、私の提起が中国共産党にとっても非常に有益であることを理解してもらえると信じています。私がファシストであることも問題になるはずがありません。なにしろかつて小平先生が、「白い猫だろうと黒い猫だろうとネズミを捕るのが良い猫である」とさっすが物事の本質をズバリとお突きになる歴史的名言をさらりと放たれたとおり、掲げている看板がファシズムだろうと共産主義だろうと、欧米列強からの圧力と対峙しながら東アジア諸国の共存共栄を目指して努力するのが良い政治である、と中国共産党の偉大な指導者たちが考えないわけがありませんよ。

 さて、行きがかり上、3回にも渡ってお送りすることになってしまった外山恒一氏の「日本は中国に朝貢せよ=中華褒め殺し」インボーは、現状、トホホな顛末を迎えていることが判明した。このまま何事もなく収束していくのかどうか、今後の展開はわからないが、大きな動きが発生した場合はまた詳報したい。

写真提供/YUKAKO NOMOTO(日本の志)